同族会社の税務 

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同族会社が気をつけなければならない税務  

中小企業、特に同族会社では会社の取引と個人的取引を混同しがちで、税務上問題となることが多いようです。特に注意すべき事項について、株式会社の取締役に限定して解説します。

ケース1

両親が役員となっているが、支払っている報酬ついて注意すべき点は?

回答

役員報酬の額が適正であることが重要です。

(1)適正な役員報酬とは?

適正な役員報酬については、次の点がポイントになります。

     

  1. 職務内容に見合った報酬であること
  2. 役員報酬は、あくまでも役員としての職務に対する対価です。役員としての仕事がないのに役員報酬を支払っていれば、有名無実の役員とみなされます。

  3. 同業種・同規模の企業と比べて過大でないこと
  4. 親族役員への報酬が過大でないこと

役員が親族だけの場合、例えば代表取締役(創業者)と名目だけの平取締役(父親)の報酬が同額だと過大と判断されます。また社員から登用した役員がいる場合、親族の取締役の報酬が親族以外の取締役のそれより多額である場合も過大とされることもあります。

(2)株主総会・取締役会で承認を得る

取締役の報酬については、その総額は株主総会で決議し、各取締役の報酬額については取締役会の承認を得ることになっています。なお、総会・取締役会等の開催後には必ず議事録を作成しきちんと保存します。

<役員報酬についてのチェック事項>

ケース2 社長個人が所有する土地建物を会社が一括して借りているが、その際注意すべきことは?

回答

賃貸料を支払うか否かで違ってきます。

     

1.社長から無償で借り受ける場合

社長から土地建物を一括・無償で借り受けている場合は、会社にとって不利益とならないので問題はありません。

ただし、土地のみを無償で借り受ける場合、借地権の有無によって税務上の問題が出てきますので注意してください。

2.社長に賃貸料を支払う場合

賃貸借契約書作成し、取締役会でその賃貸借契約書について承認を得た上で、賃貸借契約を結ぶ必要があります。というのも、同族会社の場合、会社と役員の経済取引が社会一般的なものであっても税務上問題となることがあるからです。なおその契約内容が世間離れしたもの(例えば、社長に支払う賃貸料が第三者から借りた場合より高額すぎる)では当然ダメです。

賃貸借契約書では、維持管理に通常必要な費用を借り主(会社)が負担するのか貸し主(社長)が負担するのかといったことまできちんと取り決めておきます。

<土地建物を借りる際のチェック事項>
  • 同族の役員といえども賃貸借契約書を交わしているか
  • 賃貸借契約書の内容は世間離れしておらず取締役会の承認を得ているか
  • 維持管理に通常必要な費用をどちらが負担するかなども取り決めているか

同族会社の行為・計算の否認とは?

同族の者が資本の大部分を持ち、経営支配権を握っているような同族会社については、法人税などの負担を不当に減少させることを目的に、非同族会社では容易にできないような取引や計算を行った場合、税務署長はそれを否認することができるとされています。例えば、次のような場合、この規定を適用されることがあるようです。

同族会社の行為・計算の否認については、所得税法第157条及び法人税法第132条に規定されています。法人税法では次のようになっています。

法人税法第132条(同族会社等の行為又は計算の否認)

1税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更生又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準もしくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。

一内国法人である同族会社

二イからハまでのいずれにも該当する内国法人(中略)

2前項の場合において、内国法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為又は計画の事実のあったときの現況によるものとする。

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