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◇平成12年度税制改正が中小企業に与える影響

平成12年度税制改正において、中小企業に影響を及ぼしそうな改正があります。そのうち主な改正事項について、その影響等を考えます。

留保金課税の一部廃止

留保金課税は、同族会社が各事業年度の所得を配当などをせずに留保した場合に、その留保金額が一定の限度額を超えるときは通常の法人税の他にその留保額に応じた特別税率による法人税を課す制度です。

以下に掲げる法人については、この留保金課税を2年間停止する措置が講じられました。これらの法人は「資金調達力が弱く、内部留保が必要」との判断から講じられた措置です。

@設立10年以内の新事業創出促進法の中小企業者

製造業・・・資本金3億円以下又は従業員300人以下

卸売業・・・資本金1億円以下又は従業員100人以下

サービス・・・資本金5000万円以下又は従業員100人以下

小売業・・・資本金5000万円以下又は従業員50人以下

A新事業創出促進法の認定事業者

−影響−

該当する中小企業は2年間留保金課税が停止されることから、その間に資本の充実を図ることになります。

青色申告特別控除額が55万円

 個人の確定申告。青色申告特別控除について、正規の簿記の原則(複式簿記)に従って記録している者に対する控除額が55万円(現行45万円)に平成12年分の所得税から引き上げられます。

なお、簡易な簿記の方法により記録している者に対する控除額は45万円に据え置かれます。

−対応策−

複式簿記により記帳を行えば青色申告特別控除額が10万円増加されますので平成12年分の会計帳簿から準備して記帳を始めましょう。 

パソコン減税と投資促進税制が延長

 (1)情報通信機器の即時償却制度

取得価格100万円未満のパソコンなど一定の情報通信機器を取得し、事業の用に供した場合にその取得費の全額を即時償却できるパソコン減税が平成13年3月31日まで1年間延長されました。

−対象となる設備−

@電子計算機Aデジタル複写機Bメモリー送受信機能付普通紙ファクシミリCデジタル構内交換設備Dデジタルボタン電話設備E電子ファイリング設備Fマイクロファイル設備GICカード利用設備

*なお、電子計算機のソフトウエアについては基本的にパソコン減税の対象にはなりません。

(2)中小企業投資促進税制

中小企業が一定の機械装置、器具備品、貨物自動車等を取得して事業の用に供した場合に取得価格の30%の特別償却、又は取得価格の7%の特別税額控除の選択適用が認められる中小企業投資促進税制が平成13年5月31日まで1年間延長されました。

−対象となる設備−

「機械装置」「器具備品」「貨物自動車」等

(3)ソフトウエアが無形固定資産に

平成12年4月よりソフトウエアの資産区分が無形固定資産となり、その耐用年数は次のとおりとなります。

@複写して販売するための原本となるソフトウエア・・・・・3年

A研究開発用・・・・・3年

B自社利用で@A以外のもの・・・・・5年

取得価格が10万円未満のものについては、支出時の損金とすることができます。

また電子計算機、ソフトウエア導入の際に支出する現地調査料、立ち上げ支援料、コンサルタント料などは個々の費用ごとにその実態に応じて電子計算機、ソフトウエアの取得価格に算入することになります。

−影響−

昨年来、インターネット利用者が急速に増加しています。企業においても、電子商取引などインターネット利用は不可欠なものとなり、ホームページを持たない企業はビジネスが成り立たなくなるともいわれています。コンピュータ関連税制が延長されたことは情報関連機器の設備投資のチャンスといえます。

−対応策−

@企業内でインターネットを活用するためパソコンの購入やホームページ作成の時期などを検討し事業計画を立てる。

A国や市町村の制度融資など購入資金調達の方法を検討する。

 

以上の他にも次のような改正がなされています。

・相続税、贈与税における非上場株式評価の実質引き下げ

中小企業経営者の事業継承時の税負担を軽減するため、取引相場のない株式の評価方法が見直されています。

@類似業種比準方式による評価方式について、各比準要素のうち利益金額に比重をおく方法にすると同時に評価の安全性に対する斟酌を見直す

A小会社の規模基準のうち従業員数基準を見直す    など

・年少扶養控除の引き下げ

平成11年度税制改正において、年齢16歳未満の扶養親族に係る扶養控除額が特例として10万円加算され38万円から48万円に引き上げられましたが、この特例が廃止され38万円となります。適用は平成12年分以後の所得税からです。

・エンジェル税制の拡充

これは、特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等の特例(いわゆるエンジェル税制)の対象となる特定株式について、上場等の日において3年超保有した株式をその上場等の日以後1年以内に譲渡した場合、一定の要件の下で譲渡所得等の金額を2分の1として課税するという特例です。なお従来からある創業者利益の特例(2分の1)との重複適用が認められます。

・登録免許税、不動産取得税の軽減

・相続税の延納の利子税率の引き下げ

・法人税における有価証券の評価方法の改正

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