平成13年税制改正のポイントは次のとおりです。
分割・合併等の企業の組織再編成についての税制の整備
パソコン減税の廃止およびパソコンの耐用年数の短縮
新住宅ローン減税制度の創設
贈与税の基礎控除額の引き上げ
自動車税のグリーン化税制の導入など
平成13年度税制改正は、本格的な景気回復や企業の再構築などに資する観点から、住宅投資等の促進や中小企業の設備投資の促進を図るとともに、社会経済情勢の変化に対応する措置が講じられています。
個人関係の税制改正 |
・新住宅ローン減税制度の創設 |
1.新住宅ローン減税制度の創設
従前の住宅ローン税額控除制度が終了(平成13年6月30日)するのに伴い、平成15年12月31日までの措置として新住宅ローン減税制度が創設されました。この制度の控除率、住宅借入金の年末残高の限度額、控除期間等は次のとおりです。
期 間 | |
従前: | 平成11年、12年または13年1月1日から6月30日までの居住分 |
改正後: | 平成13年7月1日から平成15年12月31日までの居住分 |
控除期間 | |
従前: | 15年間 |
改正後: | 10年間 |
控除率 | |
従前: |
住宅借入金等の年末残高5000万円以下の部分
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改正後: |
住宅借入金等の年末残高5000万円以下の部分 全期間:1% |
注意点
今年7月1日以後に入居する場合の控除期間はこれまでの15年から10年に短縮されました。
税額控除率は10年間一律1%とされ、減税額の最大総額は従前の587.5万円から500万円に減額されました。
住宅等の購入資金の借入れで返済期間が10年以上のローンが控除の対象ですから、繰上返済して返済期間を短縮し10年を切ってしまうとその時点で控除は打ち切りとなります。
継続居住が条件ですから、その期間中に一時他人に貸して、その後再び自分が住み始めたとしてもこの控除を復活することはできません。
2.居住用財産の譲渡損失の繰越控除の延長
特定の居住用財産の買い換え等の譲渡損失の繰越控除制度については、その適用期限が3年延長されました。
3.居住用財産の買い換え特例の拡充および適用期限の延長
居住用財産の買い換え特例の条件次のように緩和してその適用期限が3年延長されました。
@買換資産である家屋の床面積要件の上限
従前の240uから280uへ
A買換資産である耐火建築物の築後経過年数
従前の20年以内から25年以内へ
平成13年4月1日以後に行う居住用財産の譲渡について適用されます。
4.土地等の課税の特例制度の延長
土地または建物等の譲渡益について、他の所得とは分離して課税長期譲渡所得金額に一律20%の所得税が課税されるという特例制度が3年(平成15年12月31日まで)延長されます。
優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用期限が平成15年12月31日まで延長されました。
5.株式譲渡益の源泉分離選択課税方式の廃止を2年先送り
上場株式等の譲渡益に係る源泉分離選択課税制度については、平成11年度税制改正で平成13年3月31日限りで廃止し、申告分離課税方式に一本化することになっていましたが、その廃止時期が平成15年3月31日まで2年先送りされました。
中小企業投資促進税制等、特定非営利活動法人(NPO法人)への支援、高齢者向けの優良賃貸住宅の割増償却などについては、個人事業者についても法人と同様に適用されます。
以上が所得税関係の主な改正内容です。
確定給付企業年金の改革に伴う措置は「確定給付企業年金法案」として国会に提出されています。
・贈与税の改正 |
1.贈与税の基礎控除額等の引き上げ
贈与税の基礎控除額の引き上げや住宅取得資金を贈与した場合の非課税枠の拡大などが行われています。
贈与税の基礎控除の金額(年額)が従前の60万円から110万円に引き上げられました。
平成13年1月1日以後の財産の贈与について適用されます。
2.住宅取得資金の贈与の特例の非課税限度額拡大と適用期限の延長
贈与税の基礎控除の引き上げに関連して、非課税限度額が300万円から550万円に引き上げられました。また特例の対象などを拡充し、その適用期限が3年(平成15年12月31日まで)延長されました。
平成13年1月1日以後に贈与により取得した住宅取得資金について適用されます。
特例の適用対象拡充
所有する住宅について一定の増改築の費用に充てるために受ける金銭の贈与
住宅取得資金の贈与前5年以内に本人または配偶者が所有する住宅に居住したことがある者が一定の要件のもとで行う住宅の買い換えに充てるために受ける金銭の贈与
相続税の小規模宅地等の評価の特例適用対象面積が拡充
3.特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等及び国営事業用宅地等
@相続税の課税価格に算入するときの評価を80%減額できる特例について、小規模宅地等の適用対象面積が次のとおり拡大されました。
従前:330uまでの部分
改正後:400uまでの部分
A特定居住用宅地等
従前:200uまでの部分
改正後:240uまでの部分
上記@Aの宅地等およびその他の特例適用対象宅地等のうちいずれか2以上の宅地等を選択する場合には、適用対象面積の調整を行うこととされました。
平成13年1月1日以後の相続により取得する小規模宅地等について適用されます。
・印紙税の特例措置が2年延長 |
1.登録免許税の税率軽減措置が2年延長
住宅用家屋の所有権の保存登記、移転登記、住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記について登録免許税の税率の軽減措置の適用期限が2年延長されました。
登録免許税の一例
住宅用家屋の所有権の保存登記
本則:不動産価格の0.6%
軽減措置:不動産価格の0.15%
抵当権の設定登記
本則:不動産価格の0.4%
軽減措置:不動産価格の0.1%
2.印紙税の税率の特例措置が2年延長
不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置の適用期限が2年延長されました。
印紙税額の一例
譲渡契約書、請負契約書の金額が5,000万円超1億円以下
本則:6万円
軽減措置:4.5万円
・地方税関係 自動車税にグリーン化税制 |
地方税関係・自動車税にグリーン化税制導入
1.グリーン化税制で低公害車の自動車税を軽減
グリーン化税制とは環境に配慮した自動車を普及させるため、自動車税について排出ガスおよび燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車の税率を軽減し、新車登録から一定年数を経過した環境負荷の大きい自動車には税率を重くするというものです。内容は次のとおりです。
環境負荷の小さい自動車
低公害車(電気自動車、メタノール自動車など)……おおむね50%軽減
最新排出ガス規制値より75%以上排出ガス性能がよい自動車で一定の低燃費基準を満たすもの……おおむね50%軽減
最新排出ガス規制値より50%以上排出ガス性能がよい自動車で一定の低燃費基準を満たすもの……おおむね25%軽減
最新排出ガス規制値より25%以上排出ガス性能がよい自動車で一定の低燃費基準を満たすもの……おおむね13%軽減
平成13年度および14年度に新車新規登録した自動車でその登録の翌年度から2年間。
環境負荷の大きい自動車
平成13年度、14年度に新車新規登録から11年を超えているディーゼル車
平成13年度、14年度に新車新規登録から13年を超えているガソリン車
ともにおおむね10%重課
一般乗合用バス、低公害車は除きます。
2.所得税の改正に伴う個人住民税の改正事項
所得税の改正に関連して改正された主な事項は次のとおりです。
特定の居住用財産の買い換え等の譲渡損失の繰越控除制度はその適用期限が平成15年12月31日まで延長されました。
長期譲渡所得に係る平成12年分および平成13年度分の課税の特例の適用期限が平成16年まで延長されました。
上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離選択課税制度について、平成11年度税制改正で設けられた経過措置の適用期限が平成15年3月31日まで延長されました。
3.小規模貸家業に対する個人事業税の特例廃止
個人事業税における小規模貸家業に対する通達による特例(課税対象とする独立した室数の基準を本来の10室以上から15室以上とする特例)が平成13年度分の事業税から廃止されます。