助川公認会計士事務所 | 会社設立 | 08/08/05 |
株主構成を決める |
株主構成(出資者)を決めるにあたっての注意点
株主構成を決める際は、役員給与への課税、相続税・贈与税に気をつける必要があります。特に相続税の問題を考慮すると将来の株価上場に注意し、推定相続人なども出資をしておくことが賢明な選択であると思います。また株主構成は議決権にも影響するので、バランスを考慮する必要があります。
1.役員給与への課税
平成18年4月1日以降に開始する事業年度において、実質的な一人会社(特定支配同族会社)のオーナー(業務主宰役員)に支給する役員給与のうち、給与所得控除相当分の金額を法人税の計算上、損金の額に算入しないというものです。同族会社の業務を主宰する役員と業務主宰役員関連者が、会社が発行する株式の総数の90%以上を有している場合、特殊支配同族会社となり、役員給与の一部が損金不算入となることがあります。
2.贈与税を考えて
設立に当たり、出資をしていない配偶者や子供等を株主等にする例が見受けられます。この場合、出資相当額については贈与があったものとして判断され、不測の贈与税がかかることがあるので避けるべきでしょう。株主にする配偶者や子供に出資する資金的余裕がない場合は、始めに金銭の贈与を行ってから株を購入する等によって、出資金の原資を明確にしておくことが必要です。また、現物出資による場合も特定の株主が時価以下による出資をした場合、他の株主の一株当たりの価値が増加し、贈与とみなされますので注意が必要です。
3.未成年者の出資方法
株式会社の株主(出資者)には誰でもなることができます。たとえ未成年者であっても親の同意があれば、問題ありません。
また、有限会社の社員(出資者)も誰でもなることが可能です。有限会社の社員となるためには定款認証の際に印鑑証明書が必要ですが、社員になろうとする者が未成年者の場合は、戸籍謄本と法定代理人について市区町村長が発行した印鑑証明書を各一通、公証役場に提出することになります(未成年者の法定代理人は、父母婚姻中は親権者たる父母、そうでないときは親権者たる父母、または後見人の場合もあります。)。そこで、未成年者の戸籍謄本等の収集の手間を省略する代替案として、ます父母が出資者となって会社を設立し、設立後にその出資時分を子や孫(年少年)に贈与する方法が考えられます。社員以外の者がその持分を有する場合には社員総会で承認すれば、たとえ未成年者であっても、印鑑証明書等の添付なしで移転が可能です。
4.株式の譲渡制限
株式会社の場合、株式の譲渡は原則自由ですが、株式の譲渡制限を会社登記簿に登記できます(相対的記載事項)。これは取締役会の承認なしに、株主が第三者に株式譲渡することを禁止し、同族会社などの閉鎖的会社の経営安定化や円滑化を保持するために設ける登記事項です。
この事項は、設立後の登録も可能ですが、株主総会の「特殊決議」事項に当たります。したがって、株主間の意見調整が図りづらい局面では、この決議を可決させること自体が非常に難しくなることもありますので、設立時から制限を設けておくのが望ましいといえます。
5.議決権の差異
所有株式割合による議決権の差異は以下のとおりです。
@ |
普通決議(取締役などの報酬額決定、計算書類の承認、取締役などの選任等)会社法や定款で特別な規定がない場合には、普通決議によります。普通決議の定足数は、発行済株式総数の過半数にあたる株主の出席が必要です。決議は、出席する株主の議決権の過半数が必要です。 |
A | 特別決議(取締役などの解任、営業譲渡、一般の定款変更、資本の減少、解散等)特別決議の定足数は、発行済み株式総数の過半数にあたる株主の出席が必要です。決議には、出席株主の議決権の3分の2以上が必要です。 |
B |
特殊議決。会社にとって重要性が極めて大きな事項を決議するときは、特別決議以上に要件が厳格な特殊決議で行います。例を挙げると以下の通りです。 a.取締役の自己取引の責任を免除するとき b.定款を変更して株式の譲渡に制限を設けるとき aにおいては、株主の出欠と関係なく、発行済み株式総数3分の2以上の決議が必要です。またbとcにおいては、総株主の過半数と発行済み株式総数の3分の2以上の決議が必要です。 |