助川公認会計士事務所 | 会社設立 | 08/07/20 |
会社役員の選定、役員報酬の決め方 |
1.役員選定のポイント
未上場の株式会社では取締役が 1名以上、と定められています。取締役のうち代表取締役は会社を代表してその会社の運営等の責任を負うことから、対外的に信用の厚い人が就任することが望ましいと考えます。取締役は取締役会で会社運営の重要事項を決議することになるので、選任には十分な配慮が必要です。また、監査役は会社の運営が適法に行われているか等をチェックする役割を担っているので、会計制度や法律にも精通している人がふさわしいと思われます。しかし、小会社の場合は、代表者の家族や知人が就任し、非常勤になっている例も少なくありません。
合名会社は、無限責任社員が会社の経営主体となることから、その者が取締役に就任する方がよいでしょう。合資会社についても同様に無限責任社員が取締役に就任するのがよいと思います。なお、合名会社及び合資会社はともに監査役をおく必要はありません。
2.未成年者の就任は可能か
未成年者が役員に就任することについて、法律上、制限はありませんが、役員としての意志決定能力が備わっていない者を就任させることは、実務上は問題があると思われます。
3.役員報酬の決め方
役員が自らの報酬を自由に決定できると、いわゆる「お手盛り」になるおそれがあるため、会社法では、役員報酬は、定款でその額を決めておくか、株主総会の決議で決めることと制約を課しています。
法人税においては、役員報酬はその役員に対する業務遂行の対価であるため、原則として、損金の額に算入できます。これに対し、役員賞与は、業務遂行の対価ではなく、利益処分の性格を有するため、損金の額には算入されません。
また、報酬が損金になり賞与が損金にならないとなると、本来、役員賞与として支給するべきものを役員報酬の額のうち、役員の職務に対する対価として相当な額を限度として、損金の額に算入することができるとされています。
つまり、会社が支給する役員報酬が不相当に高額である場合には、その高額と認められる部分の金額は、損金の額に算入できないということです。高額かどうかは、次の「実質基準」及び「形式基準」で判定します。
実質基準…その役員の職務の内容、会社の収益、使用人に対する給料の支給状況、同業種同規模会社の役員報酬の支給状況等からみて適正かどうか判定する基準
形式基準…定款の規定又は株主総会等の決議により定められた報酬の額を超えていないかどうかで判定する基準
ここで会社の利益がゼロになるまで役員報酬を上げてもいいかどうかですが、まず形式基準を満たしておくことは当然として、問題は実質基準をクリアできるか、つまりアップした報酬の額が役員の職務に対する対価として相当かどうかです。
役員報酬は、会社の利益金額に関連して決定されるものであるとしても、利益金額に比例して増加するものではありません。その報酬の額が常識的な範囲内か、従業員給料等とのバランスはとれているか等、諸要素を勘案して検討しなければなりません。