助川公認会計士事務所 | 会社設立 | 04/10/28 |
新設法人の届出書類 |
1.税務署への届出書
会社を設立した場合、各種届出書の提出が義務づけられています。この他、届出書の中には提出しておくと税法上、様々な特典を享受できるものもありますので、提出期間には十分注意が必要です。主な届出書等は次のとおりです。
法人設立届出書、給与支払事務所等の開設届出書、事業開始等届出書、青色申告の承認申請書、消費税に関する届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係わる納期限の特例に関する届出書、その他(棚卸資産の評価方法の届出書、減価償却費の評価方法の届出書 等)
(1)法人設立届出書
提出期限は、設立の日以後2か月以内です。この法人設立届出書には、次の書類などを添付することになっています。
イ 定款等の写し。 | |
ロ 設立の登記の登記簿謄本。法務局・出張所が電子情報処理によっている場合は履歴事項全部証明書。 | |
ハ 株主等の名簿の写し。 | |
ニ 現物出資を受けたときは出資者の氏名、出資の金額及び出資の目的物の明細に関する書類。 | |
ホ 設立趣意書。 | |
ヘ 設立時の貸借対照表。 |
(2)給与支払事務所等の開設届出書
提出期限は、事務所等を開設した日から1か月以内です。なお、給与等の支給人員が常時10人未満であるときは、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出すれば、年2回にまとめて源泉所得税を納付する特例の適用が受けられます。
(3)青色申告の承認申請書
青色申告の承認を受けようとする場合は、納税地の所轄税務署長に青色申告の承認申請書を提出する必要があります。提出期限は青色申告の承認を受けようとする事業年度開始の日の前日(設立の事業年度から青色申告の承認を受けようとする法人は、設立後3か月を経過した日とその事業年度終了の日のうちいずれか早い日の前日)です。
現在、青色申告法人に認められている主な特典は、以下のとおりです。
・青色申告を提出した事業年度の欠損金の5年間の繰越控除 各事業年度開始の日前5年以内に開始した事業年度で、青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額がある場合には、各事業年度の所得の金額の計算上その欠損金額に相当する金額を損金に算入することができます。
・欠損金の繰り戻しによる還付(現在は適用中止となっています)
・更正をする場合は帳簿書類の調査に基づいて行う
・更正通知への理由の付記
その他特別償却、準備金の積立、税額控除などに関しての特典も認められています。
青色申告の承認申請書
の提出期限の注意点 例えば設立日(登記申請日)が平成14年3月26日で、第1期に青色申告を適用しようとすると、決算日が3月31日の場合、届出の提出期限日は平成14年3月30日となります。また、第2期から適用しようとする場合の提出期限日は平成14年3月31日となります。 しかし、設立登記の場合、法務局の登記事務完了もしくは補正となるまでには、登記申請日から約1週間程度要すると思われます。その間は、会社の謄本をあげることができませんので、青色申告の承認申請書を提出することができないことになります。このことから判断すると、第1期及び2期ともに青色申告の承認は得られないことになります。 設立当初は、設備投資などが多く、売上げも上がりにくいことから損失申告となるケースが多く見受けられます。欠損金を翌年以降に繰り越せるようにすることは、以後の決算期の納税額に多大な影響を与えます。したがって、第1期目から青色申告を適用できるようにするためにも、短期間で第1期目の決算期をむかえず、最低でも2か月経過した後に決算日を設定する方がよいと思われます。 |
(4)消費税に関する届出書
消費税に関する選択届出書は課税期間の開始する日の前日までに納税地の所轄税務署長に提出することが必要です(新設法人について下記@、B、Dは、設立事業年度末日)。届出が遅れると不利な取扱いを受けることもありますので、特段の注意が必要です。
@消費税課税事業者選択届出書
(免税事業者が課税事業者となることを選択する場合)
A消費税課税事業者選択不適用届出書
(課税事業者を選択した事業者が免税事業者に戻る場合又は事業を廃止した場合)
B消費税課税期間特例選択届出書
(課税期間を3か月毎の期間に短縮することを選択する場合)
C消費税課税期間特例選択不適用届出書
(課税期間の短縮を選択した事業者がその適用を受けることをやめる場合又は事業を廃止した場合)
D消費税簡易課税制度選択届出書
(簡易課税制度の適用を受けることを選択する場合)
E消費税簡易課税選択不適用届出書
(簡易課税制度を選択した事業者がその適用を受けることをやめる場合又は事業を廃止した場合)
(5)源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書
事業者は「給与支払事務所等の開設届出書」を提出し、従業員に毎月給与を支払う際、所得税を源泉徴収して翌月の10日までに国に納付しなければなりません。ただし、一定の要件を満たせれば「納期の特例」と「納期限の特例」の適用を受けることができます。
@納期の特例
・給与等の支払を受ける人の人数が常時10人未満
・所轄税務署長に対し「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出している
A納期限の特例
・納期の特例の条件を満たしており、かつ、
・その年の12月20日までに「納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」を提出しており、
・その年の12月31日までに源泉所得税の滞納がないこと
<源泉所得税の納付期限> 原則 ───────────── 源泉徴収した日の翌月の10日までに納付 納期の特例 1月から6月分 ── 7月10日までに納付 7月から12月分┬─ 翌年1月10日までに納付 └─ 翌年1月20日(納期限の特例) |
注意事項 |
納期の特例は、承認申請書を提出した日の翌月から効力が発生するため、提出した日の属する月分の源泉所得税は翌月10日に納付する必要があります。例えば2月に承認申請書を提出した場合の源泉所得税の納付期限は、次のとおりになります。
・2月分の給料の源泉所得税は3月10日までに納付
・3月分から6月分の給料の源泉所得税は7月10日までに納付
なお、納期の特例は1月から6月までの分は7月10日まで、7月から12月までの分は翌年1月10日までに納付すればよいとされていますので、原則どおり翌月10日までに納付してもかまいません。逆に、納期の特例申請を提出し、毎月納付している場合、うっかり納付を忘れていたとしても、期限までに納付すれば問題ないため、附帯税はかかりません。したがって、適用要件を満たす場合には、この特例の適用を受けることをおすすめします。
(6)その他
@棚卸資産の評価方法の届出書。提出期限は、設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限までです。 棚卸資産の評価方法を選定することができます。
A減価償却資産の償却方法の届出書。提出期限は、設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限までです。 減価償却方法を選定することができます。
2.都道府県税事務所と市区町村長への届出
(1)事業開始等届出書
「事業開始等届出書」を都道府県税事務所と市区町村長に設立の日から15日以内に提出します。上記の届出書には定款の写し及び登記簿謄本を添付する必要があります。
上記届出書名および提出期限は