助川公認会計士事務所 | 医療法人の会計税務 | 04/10/28 |
自院に対する認知率向上 |
初診患者を増やすということは、言い換えれば「見込み患者」を自院に吸引するということである。
1.広告の効果的な活用と広報活動の展開
歯科経営の世界では医療法第69条によって厳しく広告が制限されているため、一般的に広告というものに対する姿勢は消極的である。歯科医院のなかには、自院が地域に知られることを拒否しているのではないか、とさえ思える医院もあるほどで、認知率向上対策ほどやりやすい経営施策はないといえる。
しかも、歯科医院においては基本的に
認知数×来院率=患者数
という図式が成り立っているのである。来院率に変化はなくとも、一定地域内における認知数が増えたならば、患者数が増えるのは当然の帰結である。
それでは、どのようにすれば認知率の向上は実現できるのだろうか。
2.広告媒体の効果的な活用
広告媒体の活用による認知率向上施策というものは、たいていの歯科医院が実施している方法であり、目新しいものではない。広告媒体として活用されている媒体をあげてみると、次のようなものがある。
・駅の看板 ・団地名簿
・野立看板 ・町内地図
・電柱広告 ・折込広告
・電話帳広告 ・車内広告
・町内会報 ・バス内放送
これら以外でも、地域によってはTVや新聞などを活用しているところもある。情報化社会にあっては、広告媒体は実は数多くあるといえる。
それでは、これらの広告媒体を使った広告の効果はどうであろうか。率直にいえば、効果がないものが多いというのが現実である。ということは、広告は効果がないのだろうか。
広告に効果がなければ、今日のように生活のいたるところに広告があるという状況は発生していないはずである。
要は、広告媒体の使い方が下手だということになる。広告を出すことの目的や内容を正しく認識することなく、広告媒体を活用した結果として、効果が小さいということである。
3.歯科医院広告の“4つの鉄則”
「広告とは地域住民の自院に対する認知率を向上させることによって、患者吸引を実現するための方法である」ということを認識し、この目的に沿って広告媒体を活用するならば、必ず効果は現れる。そこで、歯科医院広告の“4つの鉄則”を紹介しよう。
4. 第1の鉄則「広告は自院からはじめよ」
すでに見たように、歯科医院への患者来院理由の圧倒的第1位は「近さ」である。換言すれば、見込み患者は圧倒的に自院の近くにいるということである。
したがって、広告は自院の近くから活用するのが鉄則となる。そして、最初に活用すべき広告媒体は自院そのものに他ならない。見た目に清潔感のある医院の建物、院長やスタッフのいでたちほど、効果ある広告媒体はない。
さて、広告媒体としての重要度の第1位は医院それ自信である。ということは、以下の優先順位も、基本的には自院の近くからはじめるのが鉄則である。看板のようなものであれば、距離的に近いところから立てる。会報や名簿のようなものであれば、地域にとって密着度や住民の利用度の高いものから掲載する。これが第1の鉄則である。
5.第2の鉄則「目立たなければ広告ではない」
自院の認知率を向上させることが広告の目的である。であるならば、人目を引かない広告など何の価値があるのであろうか。
白地に黒一色で、小さくて、汚れている看板を誰が見ようと思い、見たとしてどれだけの人がその歯科医院に行こうと思うだろうか。
広告は出すからには目立たなくてはいけない。
黒一色よりも好感のもてるカラーを用い、小さなものを出すよりも大きなものを出し、常に汚れていない状況に保つこと―これが第2の鉄則である。
6.第3の鉄則「来院の仕方が明示されていること」
歯科医院の広告を見ると、地図が載っていなかったり、電話番号が申し訳程度に載っていたり、といった類いのものが実に多い。これでは広告を出す側にも、受け取る側にも効果はない。どのようにすれば、自院に来院することができるのかを明示しない広告など広告ではない。むしろ、電話番号や地図は大きく表示するのが“思いやり”というものである。
7.第4の鉄則「効果の測定を行う」
広告を出すからには費用がかかる。まして、ここまで述べてきたような工夫を行えば、一つひとつの広告の費用は大きくなる。より効果的な広告施策を実施するためには、どの広告がどれほどの実績をあげているのか、効果を測定していく必要がある。
たとえば、初診患者用の記入シートに、何によって自院を知ったのかを問う項目を設け、それを定期的にチェックするだけでも効果を測定することはできる。