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助川公認会計士事務所 医療法人の会計税務 04/05/30
なぜ自院に来院しないのか  転院行動

1.患者は自院のどういったことに不満をもっているのか

 「なぜ自院に来院しないのか」という非選択の理由をも把握しなければならない。しかも、以前は自院で治療を受けていたにも関わらず、今はほかの歯科医院で治療を受けている、あるいは今後受けたいという、いわば「転院動機」ともいえるものについて考えたい。

 これによって、患者は自院のどういったことに不満をもっているのかが明らかになり、自院のファン層を作り上げるうえでの阻害要因が明確にされる。診療圏ニーズ調査を行うなかで、「自院では調べられないデータ」すなわち「マイナス評価」の情報を得ることは、調査結果を経営上前向きに役立てていくうえでは非常に重要なのである。

 と同時に、患者が歯科医院についての満足度を判定する「基準」をみることができる。

2.患者の非選択理由(統計データ)

表3 患者の非選択理由

 

全地区

(人数) (指数)

    回答者数 合計

4,027

1.000

 

非選択理由数 合計

1,215

0.302

100.0

@説明しない

56

0.014

4.6

A治療が下手

284

0.071

23.4

B治療期間が長いから

86

0.021

7.1

C対応が悪いから

67

0.017

5.5

D待たされるから

95

0.024

7.8

E通院に不便だから

195

0.048

16.0

F費用が高いから

74

0.018

6.1

Gその他

358

0.089

29.5

 

3.非選択理由数1,215件の全体的な傾向

 「非選択理由」を明らかにすると、「治療が下手」「通院に不便」という回答がこの中心であることがわかる。これも、「選択理由」と同様に注意してみなければならない。

 まずは、「通院に不便だから」という理由で他の医院を選択しようとしている患者は、選択理由の回答の時に必ず「通院に便利だから」という理由で選んでいるかどうか。そして、「通院に便利だから」という理由のほかに、複数回答している回答者がどれだけあるかということもチェックしておくべきである。なぜならば、「通院に便利」という理由は「タテマエ」とも考えられるからである。

 医院選択行動の分析から考えると、もともと患者は「通院に便利」なところを選ぶ傾向がある。反対にいえば、「通院に不便」なところははじめから除外されることが多い。

4.「通院に不便」という非選択理由の本当の理由

 しかし、評判などに誘われて多小便が悪くても行ってみることとする。ところが、いざ治療を受けてみると、「やっぱり通院が不便だからやめる」となる。この患者は本当に「通院が不便」という理由のみで転院してしまったのだろうか。もちろんそういうケースもあろうが、ここでは次のように考えることもできる。

 @「評判を聞いて行ってみたが期待したほどではなかった」

 A「したがって、不便なところにわざわざ出かけてゆくよりも、近いところに行ったほうがよい」

 B「だから、あの医院に行かない理由は“通院に不便”」

このように考察すると、転院動機は「期待したほどではない」という理由であり、治療が下手などの理由が隠されていると考えるべきかもしれない。「非選択理由」はこのように注意してみておくべきである。

5.「治療費が高い」という非選択理由の本当の理由

 非選択理由は「悪い評判」の公開ともいえる。これをよくみてみると、ある一定の共通項に気づく。たとえば、「治療費が高い」という非選択理由。全体データでは74件あるが、これにしても「なぜ高いと感じるのか」という原因を考えてみなければならない。保険診療の場合は、治療費はどの歯科医院であっても同じはずなので、現実的に治療費が他の医院よりも高いということはありえない。感覚的に「高い」と感じるかどうかが問題である。「なぜ今日の治療費用が高くなったのか」を患者に十分納得してもらっていれば転院動機にはならなかったはずである。

 また、「(初診から治療完了までの)治療期間が長くかかる」「(1回あたりの)治療時間が長い」といった意見にしても、前もって治療計画を提示しておくとか、1回あたりの時間や終了までの時間などについての患者の希望を調べ、了解を得ておけば転院に結びつく不満にはならなかったのではないだろうか。

6.「治療が下手」は致命的な評判

 なんといっても非選択理由のトップは、「治療が下手」である。「治療が下手」という評判は歯科医院にとって致命的な評判である。そう感じた患者はおそらく二度とはその歯科医院には通わないであろう。

 治療機関の場合、レストランや美容院などと違って、「料理がおいしくなかった」「パーマが下手だった」ではすまないのである。治療は自分の身体に対して行われるのであり、歯は疾患にかかれば(乳歯でなければ)はえ変わることはなく、失うだけのものなのである。「下手」な歯科医院に治療をされてとり返しのつかないことになってしまっては一大事であり、誰しもがもっている防衛反応から「下手」と評判されればもう二度とはその医院を選択することはない。

 

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