助川公認会計士事務所 | 医療法人の設立 | 04/10/28 |
診療収入未収金などの出資 |
1.「法人成り」に際して、診療収入未収金や株式などの出資はできるのかどうか
診療報酬未収金を出資しても差し支えありませんが、未収金が過誤調整などで予定額より減額となった場合は、その減額分については、現金で出資することが必要です。例えば、未収金として8,000万円出資することとなっていたところ、実際には7,500万円しかなかった場合には、その差額500万円は別途現金で出資することになります。
また、株式の場合は、あらかじめ換金化し、現金で出資してもらうことが必要です。しかし、株式の場合は、かならず現金化して出資することが必要かどうかが問題となるます。その際、上場株などを出資することは、長期保有を前提とすれば医療法人の財政健全化という観点からも有用であり、「株の現物出資は認められる」と考えることもできます。
2.出資金はいくらになるか
一般的には「許可申請時の医療未収金残高と、登記の日現在での未収金残高は異なっているのが、当然ということになります。差異の生じる原因のほとんどが、実は数値を出す“時点の差”によるものです。医療法上、医療法人の出資金は設立時の財産目録に記載された金額となります。
また、医療法人には、株式会社のような「法定資本金」という考え方はありませんので、税務署へ提出する設立時財産目録は、医療未収金を再計算したり、医薬品在庫を棚卸したりした結果、当初の出資金と異なることが予想されます。
「医療法」では、「申請時において設立時(登記の日)の財産目録を作成するように」と定めておりますが、これは不可能なことであり、その規定に基づいて出資金の額が決まるため、実務上は「税務の取り扱いに準拠した出資金の額が、医療法上も認められる」と考えてよいと思います。