助川公認会計士事務所 |
企業会計 |
04/10/28 |
帳簿書類はきちんと整理保存していますか |
取引先から受け取った証憑書類や企業が作成した帳簿書類などの税務上の書類は、日々きちんと整理保存していますか?後日調べたり、税務調査を受けるときのためにもきちんと整理保存しておくことが必要です。
−帳簿書類の整理保存のポイント−
帳簿書類を整理保存する際、以下の事項に留意してください。
留意点1 証憑書類をもとに日々誠実に記帳する
日々の取引における領収書などの証憑書類をもとに、日々誠実に記帳しなければなりません。そしてその際、適法に会計処理等を行うことが何よりも重要となります。そうすることにより、帳簿等の証拠力が増し、自社を守ることにもなるのです。留意点2 必要な書類をいつでもすぐ取り出せるように整理保存する
証憑書類等は、税務調査等で要請があればすぐ取り出せるように整理保存しておく必要があります。
@整理方法:証憑書類に<証第 号>のゴム印を押して、毎月1から始まる一連番号を付け帳簿にもその番号を記載し、必要に応じて速やかに取り出せるようにしておきます。
A保存方法:事業年度ごと、月ごとあるいは仕入先ごとに整理してファイリングし、整理番号を付けてすぐ取り出せるようにします。なお、1年分は会計年度ごとに段ボール箱(帳簿書類保存箱)に保存します。
留意点3 原始記録も保存する
「原始記録」とは、取引等における最初の記録で、例えば顧客に商品等を販売した場合であれば、その顧客に確かに販売したという記録(受領書等)です。
留意点4 総会(株主総会、社員総会)や取締役会の議事録は必ず作成する
総会や取締役会は商法に則って開催しなければならず、その議事録は必ず作成し、保存しておかなければなりません。
−税務上の帳簿書類には法律で保存期間が定められている−
税務上の帳簿書類には、7年間ないし5年間の保存が法律で義務づけられているものがありますので注意してください。またこれらの保存場所は、納税地(通常は本店所在地)又は、支社、営業所と税法で規定されています。主な帳簿書類の保存期間は次のとおりです。
(1)7年間保存しなければならないもの@一切の取引に関する帳簿(仕訳帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳など)
A決算に関する書類(貸借対照表、損益計算書、棚卸し表など)
*商業書類及び営業に関する重要書類(貸借対照表や損益計算書、営業報告書、利益処分案、各付属明細書、総勘定元帳など)は商法により10年間保存
B現金の収受・支払い、預貯金の預入れ・引出しに際して作成された取引書類(領収証、預金通帳、借用証など)C有価証券の取引に際して作成された書類(有価証券受渡計算書、有価証券預り証等)
D棚卸し資産の引き渡し・受入に際して作成された書類以外の書類{資本金1億円超の大法人}(請求書や見積書など)
E扶養控除等(異動)申告書、保険料控除申告書、配偶者特別控除申告書、源泉徴収簿(賃金台帳)、住宅取得等特別控除申告書 など
(2)5年間保存しなければならないもの@棚卸し資産の引き渡し・受入に際して作成された書類(納品書や送り状など)
A棚卸し資産の引き渡し・受入に際して作成された書類以外の書類{資本金1億円以下の中小法人}
*ただし、国外取引に関するものは6年間保存。
−帳簿書類の電子データによる保存ができる−
前述のような所得税法や法人税法等の各税法で保存しなければならない帳簿書類のうち、コンピューターで作成するものについては、税務署長の承認を受けた場合、一定の要件のもとで、コンパクトディスクや磁気ディスク、磁気テープ等の媒体に記録した電子データのまま保存することができます。
<電子データで保存が可能な帳簿書類>自己が最初の記録段階から一貫してコンピュータを使用して作成する帳簿書類で、次のようなものが対象になります。
@仕訳帳、総勘定元帳、補助元帳等の帳簿
A貸借対照表、損益計算書等の決算関係書類
Bコンピュータで作成し、相手方に交付する請求書や領収証等の控え など
*ただし以下のものは対象とはなりませんので注意してください。
・手書きで作成する仕訳帳、総勘定元帳、補助元帳等の帳簿
・手書きで作成し相手方に交付する請求書等の控え
・取引相手から受け取る領収証等の証憑書類