助川公認会計士事務所 |
企業会計 |
04/10/28 |
ゴルフ会員権 |
ゴルフ会員権相場が下落したときの評価損は
従来ゴルフ会員権は著しく値上りしたため趣味と実益とがともにかなえられ、いわゆる一石二鳥の感があったが、最近は暴落後一服してまた値下りが繰り返されている。また中にはゴルフ用地の買収に失敗して虫喰い状態のまま倒産したゴルフ場もあるのみならず、倒産の噂を立てられたために受託金のキャンセルで倒産したゴルフ場もあるとか…
会員権の切下げ処理(評価減)が否認されるとき−−会員権の評価減をおこなうとき
ゴルフ会員権は有価証券でなく一種の権利であるからこれにつき評価減を行うことは税務上認められない(法法33A)
すなわち、法人税が評価減を認めているのは有価証券とたな卸資産に限られ、その他の資産については認められない。
しかしながら商法は帳簿価額に比して時価が半額以下となったときはこれにつき強制低価を行うべき旨を明らかにしているので、法人が会員権の帳簿価額を切り下げるときは有税となろう(法法33A)。
会員権の譲渡
会員権の評価損計上が認められないときは会員権を譲渡しなければならないが、この場合は次のごとき問題が生ずる。
@譲渡先が同族関係者たる個人、法人ではないか?、
A譲渡済会員権の名義書替えが行われたか?、
B譲渡価額が低くないか?、
C業者経由の譲渡それとも直接譲渡か?、
D譲渡済会員権を買い戻していないか?
すなわち、同じく譲渡であってもたんに名義変更だけの譲渡でその実質は評価損のごときものは譲渡損の否認が行われ、特にいったん譲渡したものを再び買い戻したとき、しかも名義書替料も支出せず書替申請を行ったときはそれを譲渡した理由、すなわちなんのために譲渡したのかその理由が問われることになる。
実態に変化がないとき
例えば法人が所有している社長個人名義のゴルフ会員権を、社長個人に譲渡して譲渡損を計上したときはどうであろうか。しかも社長はその後も従来と同様にそのゴルフクラブを利用してその利用料も同じく法人負担としているときは、これが譲渡されて譲渡損が計上されてもその実態は全く変わらないために、法人〜社長間の譲渡は譲渡とみなされず法人が計上した譲渡損は評価損と認定されて税務上否認される。
税務上、ゴルフ会員権の譲渡損を否認されないとき
正規譲渡 法人がゴルフ会員権を同族関係者に譲渡せず、仲介者を経由して第三者に適正価額にて譲渡したときは、税務上特に否認問題が生ずることはない。もっとも、いったん同族関係者に譲渡してもその者がその時期に近い時点で再び第三者に譲渡したときは、法人が計上した譲渡損も損金に算入されよう。
ゴルフ預託金が回収不能となるとき
法人・個人の相違 ゴルフ会員権が預託金形式を採っているときに、ゴルフ場倒産に伴いそれが回収不能となれば損金になる。ただし、個人の場合はその損失は所得から控除されない。
ゴルフ預託金の回収が例えば支出金の20%と債権者会議等で決まったときでも法人はこの預託金につき、貸倒引当金を設定したり、部分償却を行うことは認められない。すなわち税務上預け金は貸金の対象外とされているからである。
現在はこの種の預託金形成のゴルフ会員権につき評価損を計上し税務上トラブルを生じているケースが多い。