助川公認会計士事務所 |
企業会計 |
10/05/22 |
会計基礎:工事進行基準 |
1.請負による収益はいつ計上するのか
建築や、運輸業など、商品の引き渡しとは、ちょっと違います。請負業の場合、収益は、いつ計上すればよいでしょうか
請負には、建設請負のように物の引渡しを必要とするものと、運送や技術指導のように物の引渡しを必要としないで、役務の提供だけで完了するものがある。
これらの収益は、原則として、前者についてはその物の全部を引渡した日、後者については役務提供の全部を完了した日に収益に計上する。
建設請負・・・・その物の全部を引渡した日(完成工事基準、完成引渡基準)
運送や技術指導・・・役務提供の全部を完了した日
ただし、1つの建設工事等であっても、工事等の一部が完成し、その完成した部分を引渡した都度、その引渡割合等に応じて工事代金を収入する旨の特約等がある場合など、一定の事実がある場合には、その完成した部分(引渡量又は引渡割合)に対応する収益を計上するいわゆる部分完成基準により収益を計上しなければならない。
2.工事進行基準(収益の計上時期を繰り上げるもの)
収益の計上時期の特例としては、この他に工事進行基準があり長期大規模工事については「工事進行基準」が強制適用される(法64@)。
また、長期大規模工事以外の工事については、個別の工事ごとに工事進行基準を選択適用できるが、いったん適用したものについては継続性が要求される(法64A)。
なお、長期大規模工事以外の工事で工事損失が生ずると見込まれるもの等については適用できない。
「長期大規模工事」とは、次の3つの要件を満たす工事をいう(法64@)。
イ 工事の着手の日からその工事に係る契約において定められている目的物の引渡しの期日までの期間が2年以上であること。
ロ その工事の請負の対価の額が、50億円以上の工事であること
ハ 工事の契約において、その請負の対価の額の2分の1以上がその工事の目的物の引渡しの期日から1年を経過する日後に支払われることが定められていないものであること。
3.
工事進行基準の方法工事進行基準の方法は、次の算式により計算された収益の額及び費用の額をその事業年度の益金の額及び損金の額に算入する方法とされている(令129B)。
〔工事中の事業年度〕
当期に計上すべき収益の額
=請負の対価の額 ×進行割合−既に収益の額として計上した金額
また、進行割合とは、次に掲げる算式による割合その他の工事の進行の度合を示すものとして合理的と認められるものに基づいて計算した割合をいう(令129B)。
進行割合= (既に要した原材料費、労務費その他の経費の額の合計額)÷
(期末の現況により見積もられる工事原価の額)
なお、次に掲げる場合に該当するときは、長期大規模工事の請負の収益の額及び費用の額はないものとすることができる(令129E)。
(イ) その事業年度終了の時において、その着手の日から6月を経過していないもの
(ロ) 進行割合が20%に満たないもの