助川公認会計士事務所 |
企業会計 |
10/05/22 |
会計基礎:資産の無償譲渡による収益 |
1.資産の無償譲渡による収益
法人が資産を無償で譲渡した場合であっても、その資産の時価相当額が収益の額に含まれる。
資産を無償で譲渡した場合は、時価で収益に計上するのか? 企業会計と税務では、取扱が異なります。
【企業会計】
法人が無償で資産を譲渡した場合には、企業会計では現実には金銭等の授受がないので、これを収益とはしない。
【法人税法】
しかし、法人税法では、法人が他の者と取引を行う場合には、すべての資産は、時価によって取引されたものとみなして課税所得を計算するのが原則的な取扱いとなっている。
したがって、法人の所有の資産を第三者に無償又は低廉な価額で譲渡しても、その譲渡によって収入すべき金額は、その法人の収益として益金の額に算入すると同時に、その金額を相手方に対して贈与したものとされ、それによって生じた損失は原則として寄附金となる。
この場合、その相手方が法人の役員又は使用人の場合はその者に対する給与となる(法37FG、34、35、36)。
【事例1】親会社が、子会社に土地を無償で譲渡した場合。土地の簿価は500万円で、時価は5000万円であった場合。
税務上の仕訳(無償譲渡)
[譲渡法人](親会社)
(土地譲渡原価) 500万円 (土 地) 500万円
(寄 附 金) 5,000万円 (土地譲渡収益) 5,000万円
[譲受法人](子会社)
(土地)5,000万円(受贈益)5,000万円
【事例2】親会社が、子会社に土地を時価より安く譲渡した場合。土地の簿価は500万円で、2000万円で譲渡した。時価は5000万円であった場合。
税務上の仕訳(低廉譲渡)
[譲渡法人](親会社)
(土地譲渡原価) 500万円 (土 地) 500万円
(現 金) 2,000万円 (土地譲渡収益) 5,000万円
(寄 附 金) 3,000万円
[譲受法人](子会社)
(土地)5,000万円(現金)2,000万円
(受贈益)3,000万円