助川公認会計士事務所 |
企業会計 |
10/05/22 |
会計基礎:収益の計上 |
1.収益はいつ計上されるか
収益 - 費用 = 利益 である。
利益に対して、税金がかかる。
会計期間は、1年間で、たとえば、3月決算会社の場合、
3月までに、収益(=売上)が上がれば、当期の収益となるが、4月1日に売上が計上されれば、次期の収益であり、当期の損益計算には入れない。
では、売上が計上されるのは、どのような事実があれば、売上となるのであろうか。
2.収益とは
収益とは、各事業年度の所得の金額の計算上プラスの要素となるものをいい、商品・製品等の資産の販売による収益である。
法人税法上の益金の額を構成する取引により収受する対価の額をいう。
3.収益の計上時期
商品、製品等を販売した場合に、その収益の額をどの事業年度に計上すべきか(これを「収益の計上時期」という。)については、会社の取引態様(事業の種類)等によって異なる。
商品や製品等を販売した場合、通常次のような流れが考えられる。
@受注
A倉庫からの出荷
B相手方への到着(倉庫への入荷)
C相手方の検収
D代金を請求
E代金の入金
このような流れにより商品や製品等を販売した場合に、それによる収益をどの事業年度に計上するかによって「当該事業年度の収益の額」は変動し、ひいては課税所得にも大きな影響を及ぼすこととなる。
例えば、ある商品を販売した場合に、その代金が入金した時に売上に計上する(会計学上の現金主義)か、
それとも代金の入金の有無にかかわりなく販売が行われた時に売上に計上する(会計学上の発生主義や実現主義)か、
更に、販売が行われた時といっても契約成立の時か、
倉庫から出荷した時か、
あるいは相手方に到着した時か、といった種々の時点が考えられる。
いずれの時点を基準として収益を認識するかによって当該事業年度の収益の額は異なることとなる。
4.商品等の「引渡し」があった日
この引渡しがあった日がいつであるかということについては、種々の基準が考えられる。
@小売業者
小売業者のように店頭で商品を販売している場合には、商品を現実に相手方に手渡した時に引渡しがあったものと容易に判断できる。
A卸売業者
卸売業者等が遠隔地の相手方に販売している場合には、現実問題としてどのような日をもって引渡しとみるかについては、必ずしも明らかではない。
この判断の基準としては通常、次のように「出荷基準」、「検収基準」等に区分されているが、会社がその商品の種類や販売形態等に応じていずれかの合理的な基準を収益実現の認識基準として選び、毎期継続して適用すれば税法上もその計算が認められる。
事例
甲(株)は乙(株)との売買契約に基づき、機械 100台を 10,000千円
で販売したが、収益に計上する日として、いつの日が考えられるか。
@受注(売買契約)の日 3月3日
A倉庫からの出荷 3月25日
B相手方への到着(倉庫への入荷) 3月26日
C相手方の検収 4月2日
D代金を請求 4月5日
E代金の入金 4月30日
いつ、売上は計上すべきでしょうか
@、D、Eは、引き渡しの日ではないので、ダメです。
@受注(売買契約)の日
D代金を請求
E代金の入金
答えは、A、B、Cのどれかです。
Aは、「出荷基準」
Cは、「検収基準」です。
会社がその商品の種類や販売形態等に応じていずれかの合理的な基準を収益実現の認識基準として選び、毎期継続して適用すれば税法上もその計算が認められます。