助川公認会計士事務所 |
企業会計 |
04/10/28 |
欠損会社の救済 |
会社が欠損子会社(又は法人)を救済してもよいか
バブルの際に多数子会社が設立されたが、そのうち特に異業種の子法人の業績がパッとせず、さらにバブル崩壊以後は著しく低下しかつ債務超過となり、親法人の足を引っ張る子会社も多発しているのが実情である。欠損子会社があると連結決算にも支障を来たす結果となるので親会社が自らのニーズにより子会社をバックアップしたいが…
第1 子会社にメリットがあるとき借入金利子を零とするとき 無利子認容 (無利子でも問題ない場合)
法人が他の法人あるいは個人より資金の借入れを行い、かつそれが無利子である時は特に税務上問題が生ずるであろうか。この場合は税務問題は少なくとも利子を巡っては発生しない。
益金認定 しかしながら法人がこの借入金の返済を一切行わず、かつ無利子であるときは、その借入金は税務上益金と認定され課税対象となることがある。すなわち税務上は返済期限のないこの種の借入金はいわゆる出世払いのものとして返済の必要がないとして利益に認定されることがある(法基通9−4−2)。債務免除をうけるとき
子法人の業績が著しく低下し例えば子法人が債務超過になったときに、債権者たる親法人が自ら子法人の債務免除を行ったときにはその債務免除益が繰越欠損金に充当される限り欠損金と通算されて課税関係はないか少額化される。
なおこの債務免除益は子法人の財務整理のために生じた益金であるから青色欠損金以外の他の欠損金にも充当される(法基通9−4−1)。
なおこのことは役員等の私財提供益についても同様である。
第2 子会社(法人)にメリットがあるとき貸付金利子の請求を取り止めるとき
・親法人が業績の悪化した子法人に対して無利子で資金を貸し付けるのでもなく、またいったん未収利子を計上した後それを償却する訳でもない。
・ここで無利子となる意味は親法人は子法人の業績が回復するまで利子収入の計上を取り止めること、すなわちいったん益金計上を行った後損金処理をするのではなくて、当初から収益計上を行わないのである。
すなわち収入利子を計上することになるので、むしろ当初から計上しないほうがよいのである。
合併差益を計上するとき 親法人に繰越欠損金があるときに資産に含み益を有する子法人を吸収合併するに際しては、親法人は子法人の受入資産につき評価益を計上して無税にて欠損金を消去し得るメリットがある(法法2十九、法令23B・170の2)。
しかもその財源は子法人の有していた含み益でるから、他人の含み益で自己の欠損金を消去しうるのである。
債務の肩代りを行い、かつ償却したとき
他人の債務を肩代りし、かつ、それを償却したときは、税務上その償却損は寄付金と認定され、支出額の大部分が損金算入を否認される。しかしながら親法人が業績が悪化している子法人を財務的にバックアップして銀行等他人の有利子負債を肩代りしかつそれを償却したときであっても、税務上その償却損が損金に算入されるケースがある。
もっとも親法人の利益が多いため欠損子法人の他人の債務を肩代りした直後に、親法人の利益圧縮のために計上した政策的な償却損は税務上寄付金に認定され、かつ時として重加算税を課せられるときもあるので注意を要する。