起業と独立会社設立医療法人の会計税務会社の税務個人の税務中国ビジネス支援

助川公認会計士事務所

企業会計

04/10/28
売上計上基準の変更(変更すると否認されか?)

質問 当法人は当期から従来の出荷基準を検収基準に変えようと考えているが、税務上必ず否認されるか

例えば得意先の受入基準が厳しく、納品しても多量の返品を受けるなどのときは売上基準を変更してもよいかと考えられるが、この変更の結果、所得金額が約1,000万円減るので税務上否認されるのではないかと心配している。いずれにしても課税されるときとされないときがあると聞いたが…

課税されやすいとき

(1)3年以前に変更したが復活するとき→×

継続適用  売上基準はいったん決めたらそれを継続して適用すべきであり、それをみだりに変更してはならない。

税の変更規制  税は有価証券・たな卸資産の評価方法につき法の定めた方法のうち、まず自ら選択して税務当局に届出を行うことになっており、かついったん決めたら3年以内にそれを変更することはできない旨が決められている(法令30@A)。

3年以内  このケースは単に売上基準を出荷基準から検収基準に変更しただけのことだが、この場合には現在の売上基準がいつこの基準に変更されたかを確かめる必要があり、もし3年程度以内に出荷基準に変更していたならば、税務上この変更は利益調整のために行われたものとして否認されることがあろう(法基通5−2−20)。

(2)利益調整のために変更したとき→×

利益圧縮   売上基準を変更したのは利益を圧縮するためであり、他の目的は一切ないときには税務上売上基準変更の実態が調査されるので、名目では否認される。

名目基準   期中では出荷基準を採り、かつ期末に検収基準に切り換えたこと、また変更したといってもそれはあくまで名ばかりであり、売掛金残高も得意先よりの検収書に合致しないとき等ではたとえ法人が検収基準を採っても否認される。

課税されにくいとき

(1)外部事情の変化等に対応したとき→○

得意先の状況変化     得意先の受入検収手続が最近きわめて厳しくなり出荷基準により売上計上を行っているが毎月多額の返品を受けてしまうという場合は、むしろ現行の出荷基準を検収基準に変更する方がよい。

規程等      なお、これを実行するためには売上規程、マニュアル、フローチャート等にそれぞれを記載して確実に実行すべきといえる。

(2)内部管理のために変更したとき→○

販売量の増加    最近は製品の販売量が急増したため営業部の先行売上げ、カラ売り等が横行して債権管理ができなくなったので出荷基準を検収基準に変えるときは税務上も認められる。

ポイント

注意事項は次のとおり

変更理由の合理性を明らかにする

内的・外的事情の変化にマッチせしめる

変更による金額的影響を概算により把握する

変更による損益の影響を推計する

利益操作による租税回避でない変更であることを明らかにする

会計方針または貸借対照表、損益計算書の記載方法を変更したときは、変更した旨、変更による増減額を貸借対照表等に注記すべきとされている(計算規3AB)

B10back.gif (1110 バイト)   B10HP.gif (1249 バイト)    sukeban.gif (4262 バイト)