助川公認会計士事務所 |
企業会計 |
04/10/28 |
売上計上基準(どの基準がよいか?) |
どのような売上基準を採るべきか
最近は世の中が激動化し、しかも企業倒産が多発している。この結果発生する事項としては売上げの繰上げ繰下げによる利益調整であり、これにより課税所得を自由に決めることができる。しかしながら売上基準を変更することを禁止するのではなく、より法人の売上実態に適合する基準に変更することはさしつかえないのでは… |
基準を実態的に決めるとき
主な基準 売上基準は販売面の実態にマッチして決められるべきであるが、その事例となる主な基準を次に示してみよう。
事例1 出荷基準
2 検収基準
3 工事完成基準
4 部分完成基準
5 工事進行基準
6 契約基準(リース)等
基準適用につき税問題が生ずるとき
税務トラブル
1 出荷基準…@売上高繰延べ計上、A仮出荷未売上品、B売上済未出荷品、C未売上げ・仕掛品過剰残高等
検収・請負等
2 検収基準…@検収・完成基準の区分、A仮検収、B意識的検収遅延、Cラウンド数値検収、D下請業者救済のための検収と前渡金等
3 工事完成基準…@意識的完成通知遅延、A工事完了済・据付工事完了済未売上げ、B工事前受金未振込(法基通2−1−5)
4 工事進行基準…請負金額50(100・150)億円以上(法法63)
その他の実態基準を検討するとき
他の実態基準
上記以外の実態基準としては特殊ではあるが次のようなものがある。
特殊基準
@代金受入基準(→不動産引渡日等が不明のとき)等
A報酬支払確定基準(→技術役務の提供報酬の収益計上のとき)等
B航海完了基準(→一航海期間がおおむね4か月以内)等
基準を法形態的に決めるとき
(1)各基準に充当されるとき
主要基準売上基準はまた別個のルールすなわち販売に関しての法的形態をベースとして基準を設定するケースがあり、次に主なるものを例示してみよう。
販売形態別 1割賦基準、2延払基準、3委託基準、4試用基準等がそれであり、いずれにせよ販売形態に応じて売上基準を決めることも一つの方法であるといえる。
(2)上記基準適用につき問題が生ずるとき
税務トラブル
1 割賦基準…@履行期の確認、A定型的ルールの区分、B包括的適用、C賦払期間2年以上は延払基準を準用、D期日前入金(法法62@)
2 延払基準…@割賦基準と同様、A個別延払契約(法法62)
3 委託基準…@委託先の出荷基準(原則的方法)、A仕切計算書の作成日基準(簡便法)、B委託商品洩れ(法基通2−1−3)
4 試用基準…@試用期限日に売上計上、A相手方の購入意思表示、B巡回員の得意先意思確認、C展示品の償却、評価損、D賃貸料収入計上洩れ
平成10年度の法人税法の改正によれば、割賦基準は延払基準のうちに包含されている。
(3)その他の法的基準を検討するとき
特殊基準 上記以外の法的基準としては特殊な基準であるものの、次のごときものが挙げられる。
1請負基準(→部分完成基準の適用)等
2予約基準(→物品引渡基準、発送基準)等
ポイント
売上基準は多くあるが、そのうちもっとも物品の販売形態にマッチした基準を選びかつ継続すべきである。
売上基準は物品の性格に応じて次のように区分される
1 物品販売に関するもの
2 請負工事に関するもの
3 サービス提供に関するもの
売上基準は販売の法的性格に応じて次のように区分される
1 通常の販売契約によるもの
2 委託販売契約によるもの
3 割賦・延払契約によるもの
4 試用販売契約によるもの
会社は多角経営を行っているので、売上基準も単独ではなく、各売上物品等の性格にマッチしたそれぞれの基準を決めておくべきである。