助川公認会計士事務所 | 中国ビジネス支援 | 04/10/29 |
外商投資企業の企業所得税 |
1.外商投資企業の課税所得計算
(1)課税所得
外商投資企業の課税所得は、会計原則と同様に発生主義を原則として計算されます。よって、税務上の課税所得は、会計帳簿に記帳された取引に基づいて会計上の利益を算出し、その後に税法の規定に従い会計上の利益を調整することにより計算されます。
(2)会計年度
会計年度は原則として暦年によります。すなわち、1月1日から12月31日を1会計年度とします。ただし、開業、合併、営業停止等により12ヶ月に不足する場合は、その実際の経営期間を1会計年度とします。
(3)適用税率
企業所得税の税率は、原則として国税30%と地方税3%の合計33%となります。しかし、投資優遇策として多くの外商投資企業に優遇税率が適用されています。
(4)申告方法
企業所得税は、四半期ごとに課税所得を計算し、四半期終了後15日以内に予定納税します。また、年度終了後4ヶ月以内に年度所得税申告書および会計決算報告書を提出し、年度終了後5ヶ月以内に確定納付します。過剰納付額は還付され不足額は追加納付することになります。
(5)罰則規定
納税義務を怠った場合、税額を滞納した日から起算して1日につき0.05%の延滞金が加算されます。また、状況に応じて罰金、重大な場合には刑事責任も問われます。
(6)課税所得の計算にあたり注意すべき事項
外商投資企業に年度欠損が発生した場合、翌年度以後の課税所得から控除することができますが、当該繰越しは最長でも5年を越えることはできません。
外商投資企業の中国国税源泉所得の国外における既納付所得税額は、納付すべき税額から控除することができます。ただし、控除額は中国において納付すべき税額を超えることはできません。
2.業種別の課税所得の計算方法
実務上、課税所得は会計上の利益に税法の各種規定に基づく損金不算入項目等の調整を加えて計算されますが、税法で定める業種別の課税所得の計算公式は以下のとおりです。なお、製品売上利益の概念は、日本の営業利益の概念と異なるなど、日本の損益計算書の計算と少し異なるところがあります。
(1)製造業
項 目 | 計算公式 |
課税所得額 | 製品売上利益+その他業務利益+営業外収入−営業外支出 |
製品売上利益 | 製品純売上高−製品売上原価−製品売上税金−(販売費用+管理費用+財務費用) |
製品純売上高 | 製品総売上高−(売上戻り高+売上値引高) |
製品売上原価 | 当期製品原価+期首製品棚卸高−期末製品棚卸高 |
当期製品原価 | 当期製造原価+期首半製品・仕掛品棚卸高−期末半製品・仕掛品棚卸高 |
当期製造原価 | 当期の生産で消費した直接材料+直接賃金+製造費用 |
(2)商業
項 目 | 計算公式 |
課税所得額 | 商品売上利益+その他業務利益+営業外収入−営業外支出 |
商品売上利益 | 商品純売上高−商品売上原価−商品売上税金−(販売費用+管理費用+財務費用) |
商品純売上高 | 商品総売上高−(商品売上戻り高+商品売上値引高) |
商品売上原価 | 期首商品棚卸高+(当期商品仕入高−(商品仕入戻高+商品仕入値引高)+商品仕入費用)−期末商品棚卸高 |
(3)サービス業
項 目 | 計算公式 |
課税所得額 | 業務純収入高+営業外収入−営業外支出 |
業務純収入高 | 業務総収入高−(業務収入税金+営業支出+管理費用+財務費用) |
(4)その他の業務
上記の算式を参照して課税所得を計算します。