助川公認会計士事務所 | 会社法 | 10/04/03 |
監査役と監査役会の職務について |
1.監査役と監査役会の職務について
@監査役は,任意機関であり,定款の定めによりこれを置くことができます。ただし,委員会設置会社を除く取締役会設置会社又は会計監査人設置会社においては,監査役の設置が義務付けられています(会327条2項本文,3項)。
A監査役の員数は,監査役会設置会社を除き制限はなく,監査役会設置会社においては,3人以上で,そのうち半数以上は社外監査役でなければなりません(会335条3項)。
B監査役の資格については取締役の資格の規定が準用され,公開会社においては,株主でなければならない旨定めることはできません。
C監査役の任期は,原則として,選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終の定時総会の終結の時までですが,非公開会社では,定款により,選任後10年以内に終了する事業年度のうちの最終の定時総会の終結の時まで伸長することができます(会336条1項,2項)。
D監査役は,会社の規模を問わず,会計監査権限のみではなく,業務監査権限を有するのが原則ですが(会381条),非公開会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)においては,定款により監査の範囲を会計に限定することができます(会389条)。
2.監査役の業務監査と会計監査
監査役の職務は、取締役の職務の執行を監査することですが、監査には、業務監査と会計監査とがあります。取締役の職務の執行には、当然、取締役の指示で行う従業員の職務執行を含みます。
監査役と会社との関係は委任であり、監査役は職務の執行に際しては会社に対して善管注意義務を負っています。したがって、監査役は、善管注意義務をもって、業務監査及び会計監査をしなければなりません。
業務監査とは、取締役の職務の執行が法令・定款を遵守して行われているかどうかを監査することで、一般に適法性監査と呼ばれています。ただし、法令には善管注意義務も含まれますので、取締役の経営判断にかかわる事項についても、不当な点がないかどうかを監査(妥当性監査)することにもなります。
会計監査とは、計算書類及びその付属明細書を監査することですが、大会社(資本金が5億円以上か、または負債が200億円以上の会社)では公認会計士または監査法人を会計監査人として選任しなければなりません。
大会社では、会計監査は第1次的には会計監査人が実施し、その監査報告が取締役会と監査役に提出されます。監査役は、会計監査人の監査の方法・結果の相当性を判断します。もし相当でないと認めた場合は、自ら監査した上で、その結果について監査報告に記載します。