助川公認会計士事務所 | 会社法 | 06/10/22 |
新会社法 現在の有限会社はどうなるか |
1.新会社法では、新たに有限会社の設立ができなくなります。 |
現在の有限会社は、今後、次の選択があります
1 新会社法施行後も、有限会社のまま存続する。ただし、経過措置が時限的なものになると、将来、株式会社に移行しなければならなくなる可能性が全くないとは言えない。
2 新会社法施行後に、株式会社に移行する。今回、最低資本金規制が撤廃されるので、資本金の増額は必要ありません。新株式会社になると、任期のなかった取締役に任期が生じ、決算広告も必要になります。しかし、会社の対外的信用度は高まります。
2.会社の設立手続きが簡略化される |
・最低資本金規制の廃止。1円でも株式会社が設立できる。
・平成15年2月に施行された新事業創出促進法の特例によって、時限的に一定の条件のもとで、最低資本金規制を受けず、1円でも株式会社を設立することができましたが、この時限立法は廃止され、これによって設立された会社(確認会社)はそのまま存続できると思われる。
・会社設立時にチェックの必要であった類似商号に関する規制が撤廃される。
・発起設立の際、振込金保管証明書が不要になる
・合名会社や合資会社は従来どおり設立できます。新たに、合同会社(日本版LLC=リミテッド・ライアビリティ・カンパニー)が新設されました。有限責任で役員の権限や利益配分などを自由に定めることができ、取締役、監査役の設置も不要です。高い技術や特許を持つ個人やベンチャーなどが起業しやすい会社形態として注目されています。
・発起設立の際、振込金保管証明書が不要になる
・株式会社を設立の際、法務局での登記申請時に、銀行発行の振込金保管証明書が必要でしたが、新会社法では、発起設立の際、振込金保管証明書が不要で、銀行等による残高証明でよいことになります。これにより、設立手続きはより、簡便になり、また、設立日まで、その資金が使用できないということがなくなります。なお、募集設立の場合には、現行どおり払込金保管証明が必要になります。
新株発行の場合。会社を設立した後での新株発行や新株予約権の行使による新株発行の場合、振込金保管証明書が不要で、銀行等による残高証明でよいことになります。
3.類似商号に関する規制が撤廃 |
・同一市町村において同一の営業目的で同一類似した商号は登記できないとの規制が撤廃される。これまでは、登記に際して、類似商号の有無を調べる必要がありました。しかし、保護される範囲は同一市町村のみに限定されるなど、実質的な意味が薄いことから、廃止される。
・今後、自社と紛らわしい名前を使った会社から損害等を受けた場合、登記の有無に関係なく、不正競争防止法等に基づいて、誤認を招いている客観的事実を立証すればよいので、訴訟を提起しやすくなる。
・なお、他の会社と同一住所、同一商号の登記はできなくなります。会社の目的にかかわる表現の審査も緩やかになります。包括的な記載も認められます。
4.現物出資による会社設立が容易 |
現物出資、すなわち、金銭以外の財産を出資して会社を設立する場合には、その現物出資の金額が「資本の5分の1を超える」または「500万円を超える」場合は、裁判所が選んだ検査役の調査を受けることが必要でした。新会社法では、「資本の5分の1」規制がなくなり、500万円以下の場合は、裁判所が選んだ検査役の調査が不要になりました。その結果、小規模会社においても現物出資がしやすくなり、個人事業の法人化も容易になります。