助川公認会計士事務所 | 会社法 | 10/04/07 |
金庫株の取得・保有について |
1.金庫株とは
金庫株とは、目的制限なく自己株式を取得・保有することです。
自己株式の取得は従来特定の目的の場合にのみ認められていましたが、平成13年10月1日施行の改正商法により原則として自由になりました。つまり、自己株式の取得・保有が自由になりました。
また、改正前商法では取得した自己株式は取得後遅滞なく消却するか、相当の期間内に処分することが義務付けられていましたが、会社は取得した自己株式について自由になりました。
2.金庫株の取得できる範囲と手続
金庫株の取得は、配当可能利益の範囲内であれば、定時株主総会の決議によって可能になります。具体的な変更点は以下のとおりです。
旧法
取得目的 消却目的、ストック、オプション等 特定の目的に限定
取得数量 制限あり
保有期間 取得後、すぐに消却または処分
改正法
全てに限定・制限なし
3.金庫株の解禁によるメリット
1 株主整理・対策
会社にとって望ましくない株主等を整理したい場合、従来はオーナーが自己資金で株式を買い取ることが一般的でしたが、自己株式の取得が自由になったことにより会社の資金で買取りができるようになります。
2 事業継承
株式の相続前にオーナーの比率を下げ、後継者の比率を上げるため、従来は後継者に高い同族者株価で第三者割当を行っていましたが、金庫株の解禁によりオーナーの所有株式を会社が取得することで、容易に後継者の持ち株比率を引き上げることが可能になります。
3 企業組織再編成
合併、株式交換、会社分割により企業組織再編成を行う場合に、新株の発行に代えて保有する自己株式を割り当てることが可能になりました。これにより、新株発行による支払配当の増加、資本金増加に伴う税負担の増加、既存株主の持分の希釈化等の防止できます。