助川公認会計士事務所 | 商法改正 | 04/05/29 |
最近の商法改正の流れ |
従来、商法改正は、法制審議会の慎重な議論を経て5年から10年に1度の頻度でなされてきました。しかし、最近、コンピュータの普及、IT革命などの技術革新に伴い、企業活動が国際化し、国際的競争が激化してきました。企業を取り巻く経済環境は常に厳しいスピードで変化しています。このため、企業活動を規律する商法についても、激変する経済環境に機敏に対応して企業活動の実態に合わせたものとする必要性が高まってきました。
そこで、コーポレート・ガバナンスの実効性の確保、IT化の進展への対応、ベンチャー企業の資金調達需要の拡大、企業活動の国際化などの観点から、さまざまな改正が連続してなされました。
これまでの商法改正の流れ。この一連の商法大改正が、平成14年5月の改正でほぼ完結しました。
平成9年改正 |
1.合併法制の改正
2.ストック・オプション制度の導入
平成11年改正 |
1.株式交換・株式移転制度の創設
平成12年改正 |
1.会社分割法制の創設
平成13年改正 |
1.自己株式の取得および保有制度の見直し(金庫株の解禁)
2.法定準備金の減少手続等
3.純資産額規制の撤廃(額面株式の廃止等)
4.単元株制度の創設
5.端株制度の改正
6.新株発行規制の見直し
7.種類株式規制の見直し
8.株式の転換
9.新株予約権制度の創設(ストック・オプション制度の見直しを含む)
10.会社関係書類の電子化
11.計算書類の公開
12.監査役の機能の強化
13.取締役などが負う責任額の軽減
14.株主代表訴訟制度に関する見直し
平成14年改正 |
(平成14年5月22日成立、平成15年4月1日施行)
1.種類株主の取締役等の選解任権
2.株券失効制度の創設
3.所在不明株主の株式売却制度の創設
4.端株主等の買増制度
5.株主提案権の行使期間の繰り上げ等
6.株主総会等の特別決議の定足数の緩和
7.株主総会招集手続の簡素化等
8.取締役の報酬規制
9.重要財産委員会制度
10.大会社以外の株式会社における会計監査人による監査
11.委員会等設置会社に関する特例
12.計算関係規定の省令委任(会計帳簿における財産の価額の評価方法等)
13.大会社についての連結計算書類の導入
14.現物出資、財産引受および事後設立の目的たる財産の価格の証明
15.資本減少手続の合理化
16.外国会社(営業所設置義務の廃止等)
商法改正は、4つの視点から見直しがおこなわれた。 |
1 資金調達・株式制度の見直し
株式制度を中心に資金調達の道を広げ、会社の資本政策の選択肢を増やすことが直接の目的です。
・金庫株解禁 ・株式の大きさ、単位変化 ・法定準備金緩和
・新株発行規制の緩和 ・種類株式の変更
2 コーポレート・ガバナンス
会社の機関構成そのものについて、従来の型と異なるものを導入するなどの大きな変改となっています。
・委員会等設置会社制度 ・監査役制度強化 ・重要財産委員会制度
・株主代表訴訟見直し ・取締役、監査役の責任軽減
3 IT化
商法上の会社関係の書類や手続きについて電子化をするという改正です。
・会社関係書類の電子化
・株主総会通知、議決権行使の電磁化
4 グローバル化
・大会社における連結決算書類導入
・外国会社の営業所設置義務撤廃