助川公認会計士事務所 | 会社法 | 10/04/02 |
取締役の義務について |
取締役の義務
1.代表取締役の業務執行に対する監督義務
代表取締役が、取締役会決議に基づかず、独断的に権限を行使する、といったことがあるかもしれません。この場合、他の取締役は、これを放置することはできません。
取締役は、代表取締役の業務執行を全面的に監督する権限を有しています。他の取締役は、代表取締役の独断的業務執行に対して、取締役会を開き、代表取締役の独断行為を是正させるようにしなければなりません。
さらには、 法令又は定款違反行為が、取締役会決議に基づいてなされることがあるかもしれません。この場合、議案に反対し、かつ、議事録に異議がある旨を記載することが重要です。
それは、違法行為が取締役会決議に基づきなされた場合、決議に賛成した取締役は任務を怠ったものと推定され、さらには議事録に異議があることを記載していなかった取締役は、決議に賛成したものと推定され、責任を追及されることになる場合があります。
2.忠実義務
会社法355条は、「取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。」と規定しており、この義務を「忠実義務」といいます。
この忠実義務の一つは、自己又は第三者の利益を優先させて会社の利益を犠牲にするようなことをしない、ということです。
例えば、取締役が他社の取締役となること自体は、原則として許されますが、もし他社の仕事に時間と労力を費し、自社の取締役としての職務に悪影響を及ぼすおそれがあるときは、忠実義務違反となる可能性があります。
3.競業避止義務
会社法356条1項は、「取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。」と規定しており、取締役が会社と競業するような取引を行なう場合を挙げています。
つまり、取締役は、取締役会が設置された会社では取締役会の承認を得なければ、又は、取締役会が設置されていない会社では株主総会の承認を得なければ、会社と競業するような取引を行えないのです。
この競業には、取締役が、自分で又は他の会社の代表取締役となって取引をするような場合のほか、他の会社の平取締役である場合や、「事実上の主宰者として他の会社を経営する」ことも含まれます。
4.会社と取締役の取引の規制
取締役と会社の利益が相反する行為を取締役が行う場合、取締役会の決議により承認される必要があります。
その一つが、会社と取締役の取引です。例えば、会社が取締役に商品を売る、会社が取締役に金銭を貸し付ける、といったものです
5.会社と取締役の利益相反行為の規制
会社と取締役の取引のほか、一般的に、会社と取締役の間に利益が相反する行為も、取締役会の決議が必要です。
その例としては、会社が取締役の債務を保証する、といったことがあります。