助川公認会計士事務所 | 会社法 | 10/04/02 |
取締役の責任について |
取締役の責任
1.取締役の会社に対する責任
取締役が、その任務を怠ったり、違法行為により会社に損害を与えた場合、会社に対して損害賠償の責任を負うことになります。
違法行為とは、例えば、総会屋に対する利益供与をすること、利益がないのに配当することなどです。
取締役の会社に対する責任が、会社法では原則として「過失」があった場合の責任となります。また、一定の条件を満たす場合には、株主総会の決議により役員の損害賠償額を制限することもできます。
2.取締役の第三者に対する責任
株式会社が第三者に対して負っている債務については、取締役であるからといって、それだけでその取締役が、会社の債務を負うことにはなりません。
取締役は、会社に対する責任以外に、取締役等の会社役員が第三者に損害を与え、悪意または重過失があった場合には、当該第三者に対しても損害賠償等の責任を負います。
第三者に対する責任については、責任の免除、制限の規定はありません。
次の場合には、取締役が会社の債務を負うことがあります。
@取締役が、(連帯)保証している場合
取締役が、会社の債務につき個人で(連帯)保証していることがあり、この場合、取締役が会社の債務について責任を負うことになります。
A取締役に職務執行につき故意又は重過失がある場合
取締役がその職務を行うにあたって故意又は重過失があったときは、その取締役は、第三者に対して、損害賠償の責任を負う場合があります。
これは、取締役が貸借対照表、損益計算書、営業報告書等に虚偽の記載をし、又は虚偽の登記・公告をしたときも同様の責任です。
実務上、会社が倒産した場合に、取締役の責任を追及する場合、取締役のこの責任を根拠とすることがあります。例えば、支払の殆ど不可能な支払手形を発行した、粉飾決算をしていた、などが問題になることがあります。
また、この職務執行についての故意又は重過失は、代表取締役ではない取締役の、代表取締役に対する監督義務違反にもあてはまることがあります。