助川公認会計士事務所 | 会社法 | 10/04/02 |
取締役及び取締役会の機能について |
取締役及び取締役会について
1 取締役の員数及び資格
@公開会社には,取締役会を置かなければならず,取締役会設置会社にあっては、取締役は3人以上必要である。
非公開会社で取締役会を設置しない会社は,取締役は1人でもよいとされました(会326条)。
A法人が取締役になれません。(会331条1項1号)
非公開会社においては,定款で取締役の資格を株主に制限することができることとされ,公開会社については,従前どおり,定款をもってしても取締役の資格を株主に限ることはできないとされています(同条2項)。
また,「破産手続開始決定を受け復権していない者」を取締役の欠格事由から除外し,欠格事由のとなる犯歴に,証券取引法違反や各種倒産犯罪の罪を加えることとされました(同条1項3号)。
2 取締役の任期
委員会設置会社以外の会社の取締役の任期は,原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の時までとします。
非公開会社については,定款に定めることにより,最長選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができることとされました(会332条1項,2項)。
なお,委員会設置会社の取締役の任期は従前どおり1年です(同条3項)。最初の取締役の任期は1年を超えることができない旨の規定は廃止されました。
3 取締役の選任及び解任方法
@取締役の選任・解任決議に係る株主総会の定足数につき,総株主の有する議決権の3分の1未満にすることができない旨規定するとともに,解任要件を原則として株主総会の普通決議に緩和した上で,定款の定めによる加重が可能である旨規定されました。
A累積投票による選任ができます。
なお,累積投票制度によって選任された取締役については,解任決議をするには従前と同様に特別決議が必要とされています。
B取締役等の欠員に備え補欠の取締役等を選任できる旨が明らかにされました。
4 取締役会
@取締役会設置会社のうち,業務監査権限を有する監査役の存在する会社でなく,委員会設置会社でもない会社については,取締役の行為を監督するため,株主が取締役会の招集を請求することができることとされました。
A取締役会の決議につき,従前は書面による決議は認められていませんでしたが,定款の定めにより,決議事項につき各取締役が同意し,かつ,業務監査権限を有する監査役が設置されている場合にあって各監査役が特に意見を述べることがないときは,書面・電磁的方法により決議できることとされました。
B取締役会への報告につき全取締役への通知をもって代えることができるものとされました。
C重要財産委員会制度(商法特例法1条ノ3ないし1条ノ5)を廃止し,取締役会の決議要件の特則として,重要な財産の処分・譲受け,多額の借財について,予め選定した3人以上の特別取締役で構成し,決議することができる特別取締役会制度を設けることとされました。
D大会社につき,いわゆる内部統制システムの整備に係る事項の決定を義務付けることとされました。
E違法配当に係る責任・利益供与に係る責任(直接供与者の責任を除く。),利益相反取引等に係る責任(自己のために直接に利益相反した者の責任を除く。)の過失責任化が図られました。
F競業取引及び利益相反取引の承認手続きについては,取締役会設置会社では取締役会の,取締役会非設置会社では株主総会の普通決議による承認を必要とします。取引に関与した取締役の責任について見直しがされました。
G委員会設置会社においては,取締役が使用人を兼務することができない旨を明確にしました。使用人兼執行役の使用人分の給与等についても報酬委員会において決定すべきものとされました。