助川公認会計士事務所 | 個人の税務・所得税 | 04/05/30 |
所得税関係の改正 平成1 6年度 |
住宅ローン減税の縮減と土地・建物等の譲渡損失の損益通算の廃止等の改正がおこなわれました。 その他に、老年者控除の廃止と青色申告特別控除の引上げなどの所得税関係の改正があります。
(1)老年者控除の廃止など
老年者控除が廃止されるとともに、公的年金等控除のうち年齢65歳以上の者について上乗せされている措置が廃止されます。そして、老年者特別加算として65歳以上の最低保障額を50万円加算して120万円とされます。
(2)確定拠出年金の掛け金の非課税枠の引上げ
確定拠出年金(日本版401k)の拠出金の非課税枠が次のように引き上げられます。同時に少額資産の中途引出要件が緩和されます。なお、自営業者等が加入している個人型年金への拠出限度額については、従前のままです。
<企業型>
|
従前 |
改正後 |
他の企業年金がない場合 |
月3.6万円 |
月4.6万円 |
他の企業年金がある場合 |
月1.8万円 |
月2.3万円 |
<個人型>
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従前 |
改正後 |
企業年金がない場合 |
月1.5万円 |
月1.8万円 |
(3)非上場株式等の譲渡所得の課税の特例
上場株式等以外の株式等(非上場株式等)を譲渡した場合の譲渡所得に対する税率が次のとおり引き下げられます。
従前 |
改正後 |
26%(所得税20%、住民税6%) | 20%(所得税15%、住民税5%) |
適用は、平成16年1月1日以後の譲渡からです。
(4)相続により取得した非上場株式の相続税納付のための譲渡の課税の特例
相続等により取得した非上場株式を相続税納付のためにその発行会社に譲渡した場合、みなし配当課税を行わず譲渡益課税の対象とされます。つまり、相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年以内に、その相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入された非上場株式をその発行会社に譲渡した場合、みなし配当課税を行わず譲渡益課税の対象とするというものです。適用は、平成16年4月1日以後の相続等により取得した非上場株式を同日以後に譲渡する場合からです。
(5)青色申告特別控除の引上げ
不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営む青色申告書を提出する納税者についての青色申告特別控除が現行の55万円から65万円に引き上げられます。一方、簡易な簿記の方法により記録している者に係る経過措置(特別控除額45万円)は廃止されます。適用は、平成17年分以後の所得税からです。
(6)住宅取得資金の貸付を受けた場合の経済的利益の非課税
給与等又は退職手当等の支払を受ける者(役員その他特殊関係者を除く)が、使用人として受ける経済的利益(住宅取得資金の低利または無利息融資あるいは利子補給金など)についての非課税制度の適用期限が2年間延長されます。