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助川公認会計士事務所 個人の税務・所得税 05/02/27
所得税関係の改正 平成1 7年度

(1)定率減税の縮小

@「所得税について」 各年分の所得税額の20%相当額(その金額が25万円を超える場合には25万円)を税額控除として認められていますが、次のように定率減税額が引き下げられます。

 適用は、平成18年分以後の所得税からです。

現行

改正後

所得税額の20%相当額(20%相当額が 25万円を超える場合は25万円) 所得税額の10%相当額(10%相当額が 12万円を超える場合は12万5千円)

     この改正に伴って、給与等に係る税額表および公的年金等に係る源泉徴収すべき所得税の額から控除する定率減税の額について見直され、平成18年1月1日以後に支払うべき給与等または公的年金等から適用されます。

A「個人住民税について」

 各年分の所得税額の15%相当額(その金額が4万円を超える場合には4万円)を税額控除として認められていますが、次のように定率減税額が引き下げられます。

現行

改正後

個人住民税所得割額の15%相当額(15%相当額が4万円を超える場合は4万円) 個人住民税所得割額の7.5%相当額(7.5%相当額が2万円を超える場合は2万円)

実施は、平成18年6月徴収分からです。

 

(2)住宅借入金等がある場合の特例控除

 住宅借入金等がある場合の所得税額の特別税額控除の適用対象となる既存住宅の範囲が拡大し、「地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準またはこれに準ずるものに適合する一定の既存住宅」が加えられます。平成17年4月1日以後に既存(中古)住宅の取得をし、自己の居住の用に供する場合に適用されます。

 

(3)居住用財産の買換え等の課税の特例

 特定の居住用財産の買換えおよび交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用対象となる買換資産の範囲が拡大し、「地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準またはこれに準ずるものに適合する一定の耐火建築物」が加えられます。 適用は平成17年1月1日以後に譲渡資産の譲渡をし、同年4月1日以後に買換資産の取得をする場合です。

 

(4)特定口座内保管上場株式等の譲渡に係わる所得計算等の特例

@自己が保管している上場株式等(いわゆるタンス株式)を、平成17年4月1日から平成21年5月31日までの間に、一定の要件の下で特定口座に、実際の取得日および取得価額で受け入れることが可能になります。  ただし、みなし取得価額での受入れは平成16年末をもって終了しています。

A開設する特定口座の取扱者の範囲に日本郵政公社が加えられます。適用は、平成17年10月1日以後に設定される特定口座からです。

B特定口座内保管上場株式等を特定口座の開設をしている証券業者に貸し付けた場合において、その貸付期間後に返還されるその特定口座内保管上場株式等と同一銘柄の上場株式等を、一定の要件の下で、その特定口座に、その貸付けをした際にその特定口座において管理されていた取得価額で受け入れることができることになります。なお、この改正は、平成17年4月1日以後に貸し付ける特定口座内保管上場株式等から適用されます。

 

(5)特定口座内保管上場株式等が無価値化した場合の特例

 特定口座で管理されていた株式が、発行会社の清算等によって無価値化した場合に、これを譲渡損とみなす措置が講じられています。 適用は平成17年4月1日以後に特定口座内保管上場株式等について上場株式等に該当しないことになった場合です。

 

(6)エンジェル税制の延長

 特定中小会社が発行した株式に係る譲渡所得等の課税の特例(いわゆるエンジェル税制)の適用期限が2年延長されます。

 

(7)租税特別措置法の改正

@公開株式の譲渡所得等の特例の廃止

A農業経営改善計画を実施する者の機械等の割増償却について、新たな農業を開始しようとする者が取得する機械装置に係る割増率を20%(従前30%)に引き下げた上、その適用期限が2年延長されます。

B認定整備事業計画に係る土地等の譲渡の特例の拡大。都市再生特別措置法の改正に伴って、次の措置が講じられます。

ア. 優良宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例等の適用対象に、都市再生特別措置法の認定整備事業計画(仮称)に係る一定の要件を満たす都市再生整備事業(仮称)の認定整備事業者(仮称)または独立行政法人都市再生機構に対する土地等の譲渡でその譲渡に係る土地等がその事業の用に供されるものが加えられます。
イ. 既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のために買換えおよび交換の場合の譲渡所得の課税の特例等について、次の措置が講じられます。
  a 特定民間再開発事業の施行区域の範囲に、認定整備事業計画の区域を加える。
  b 特定民間再開発事業が認定整備事業計画に係る都市再生整備事業として行われる場合には、その都市再生整備事業が特定民間再開発事業に該当する旨の認定およびその都市再生整備事業の施行区域外にやむを得ない事情により転出する旨の認定は、国土交通大臣が行います。

 

(8)土地等の譲渡に係る長期譲渡所得の課税の特例の拡大

 社会経済情勢の変化への対応として、次のような調整が図られています。

@優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例等の適用対象となるマンション建替事業の施行者に対する隣接施行敷地に係る土地等の譲渡について、その対象となる既存不適確建築物の範囲の拡大が図られます。

A特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円の特別控除の適用対象に、地方公共団体または一定の景観整備機構が景観計画に定められた景観重要公共施設に関する事業の用に供するために景観計画区域内にある土地がこれらの者に買い取られる場合が加えられます。

B認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の交換等の場合の譲渡所得の課税の特例の適用期限が2年延長されます。

 

(9)その他の手続の変更

@国民年金保険料の納付証明書の添付義務

 国民年金の保険料に係る社会保険料控除の適用については、その保険料の支払いをした旨を証する書類(納付証明書)を、確定申告等に添付等をし、または年末調整の際に提出等をしなければならないことになります。適用は、平成17年分以後の所得税からです。

A支払調書等の税務署長への提出の特例

 報酬・料金等の支払調書、給与所得の源泉徴収票等の税務署長への提出の特例について、一定の要件の下で、光ディスクによる提出ができることとなります。なお、この改正は、平成17年7月1日から施行され、適用は同年9月1日以後に提出するものからです。

B所得税確定申告書の記載事項。所得税の確定申告書の記載事項に、譲渡所得の金額の計算に関する事項が加えられることになります。

C不動産所得を生ずべき事業を行う民法組合等(外国におけるこれに類似するものを含む)の個人組合員(組合の重要な業務の執行の決定に関与し、契約を締結するための交渉等自らその執行を行う個人組合員は除かれる)のその民法組合等に係る不動産所得の金額の計算上生じた損失は、なかったものとみなされます。なお、この改正は平成18年分以後の所得税から適用されます。

 

(10)青色申告特別控除の引上げ

不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営む青色申告書を提出する納税者についての青色申告特別控除が現行の55万円から65万円に引き上げられます。一方、簡易な簿記の方法により記録している者に係る経過措置(特別控除額45万円)は廃止されます。適用は、平成17年分以後の所得税からです。

  

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