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助川公認会計士事務所 個人の税務・所得税 10/03/31
所得税関係の改正 平成 22年度

平成22年度の個人所得関係の改正では、所得再分配機能の回復や「所得控除から手当へ」との考え方の下で、支え合う社会づくりの第一歩として、子どもの養育を社会全体で支援するとの観点から、22年度において、子ども手当の創設とあいまって、0歳から15歳までの子どもを控除対象とする扶養控除を廃止されます。

 所得控除から税額控除・給付付き税額控除・手当へ

現行所得税の所得控除制度は、結果として、高所得者に有利な制度となっています。なぜなら同額の所得を収入から控除した場合、高所得者に適用される限界税率が高いことから高所得者の負担軽減額は大きくなる一方で、低い税率の適用される低所得者の実質的な軽減額は小さくなるからです。 

()扶養控除などの見直し

 子ども手当などの創設に伴い、住民税もあわせて以下のような見直しがなされます。

@扶養控除の一部廃止・縮小

イ.年少扶養親族(扶養親族のうち、年齢16歳未満の人をいう。以下同様)に係る扶養控除が廃止されます。

ロ.特定扶養親族(扶養親族のうち、年齢16歳以上23歳未満の人をいう。以下同様)のうち、年齢16歳以上19歳未満の人に係る扶養控除の上乗せ部分25万円(個人住民税は12万円)が廃止され、扶養控除額が38万円(個人住民税は33万円)とされます。

この改正は、平成23年分以後の所得税及び同24年度分以後の個人住民税について適用されます。

扶養控除の見直し

所得税           住民税

年少扶養親族 ・・・・・・従前38万円→改正後廃止  従前33万円→改正後廃止

(扶養親族のうち16歳未満)

特定扶養親族

16歳以上19歳未満・・・従前63万円→改正後38万円 従前45万円→改正後33万円

19歳以上23歳未満・・・   63万円            45万円

23歳以上70歳未満・・・・  38万円           33万円

70歳以上

老人扶養 ・・・・・・・・  48万円                      38万円

同居老親 ・・・・・・・・  58万円                      45万円

 

A同居特別障害者加算の特例の改組

扶養親族又は控除対象配偶者が同居の特別障害者である場合において、扶養控除又は配偶者控除の額に35万円(個人住民税23万円)を加算する措置(同居特別障害者加算の特例措置)について、年少扶養親族に係る扶養控除の廃止に伴い、特別障害者控除の額に35万円(個人住民税は23万円)が加算されます。

 適用は、平成23年分以後の所得税及び同24年度分以後の個人住民税となります。

B各種手当等の取扱い見直し

次の各種手当等について、所得税及び個人住民税を課さないこととされるとともに、国税及び地方税の滞納処分による差押えが禁止されます。

イ.子ども手当(仮称)

ロ.高校の授業料実質無償化

ハ.父子家庭に支給されることとなる児童扶養手当及び一部支給停止制度の廃止により支給されることとなる児童扶養手当

二.求職者支援給付(仮称)

ホ.新たに雇用保険制度の対象となる人が支給を受ける失業等給付

 

()少額上場株式等の配当所得などを非課税

 平成24年から実施される上場株式等に係る税率の20%本則税率化(従前は10%軽減税率)にあわせて、次の非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置が導入されます。

@ 非課税措置の概要

()金融商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座において管理されている上場株式等(以下「非課税口座内上場株式等」という)に係る配当等で、その非課税口座の開設日の属する年の1月1日から10年内に支払を受けるべきもの(その金融商品取引業者等がその配当等の支払事務の取扱いをするものに限る)については、所得税及び個人住民税は課されません。

()非課税口座の開設日の属する年の1月1日から10年内にその非課税口座に係る非課税口座内上場株式等の金融商品取引業者等への売委託等による譲渡をした場合には、その譲渡による譲渡所得等については、所得税及び個人住民税が課されません。また、非課税口座内上場株式等の譲渡による損失金額は、所得税及び個人住民税に関する法令の規定の適用上、ないものとみなされます。

()非課税口座とは

居住者等(その年1月1日において満20歳以上である人に限る)が、金融商品取引業者等の営業所に対し、非課税口座開設届出書などを提出することにより平成24年から同26年までの各年において設定された上場株式等の振替記載等に係る口座(1人につき1年1口座に限る)をいいます。新たに取得した上場株式等(非課税口座を設定した時からの取得対価の合計額が100万円以内のものに限る)などを受け入れできます。

 

()生命保険料控除の改組

「生命保険料控除」を改組し、次のイからハまでによる各保険料控除の合計適用限度額が12万円とされます。

@ 平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る控除

()平成24年1月1日以後に生命保険会社又は損害保険会社等と締結した保険契約等(以下「新契約」という)のうち介護(費用)保障又は医療(費用)保障を内容とする主契約又は特約に係る支払保険料等について、一般生命保険料控除と別枠で、適用限度額4万円の所得控除(介護医療保険料控除)が設けられます。

()新契約に係る一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除の適用限度額は、それぞれ4万円とされます。

()上記()及び()の各保険料控除の控除額の計算は次のとおりとされます。

年間の支払保険料等      控除額

20,000円以下  ・・・・・・・支払保険料等の全額

20,000円超40,000円以下・・・支払保険料等×1210,000

40,000円超80,000円以下・・・支払保険料等×1420,000

80,000円超   ・・・・・・・ 一律40,000

 

A 平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る控除

平成23年12月31日以前に生命保険会社又は損害保険会社等と締結した保険契約等(以下「旧契約」という)については、従前の一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除(それぞれ適用限度額5万円)が適用されます。

B 新契約と旧契約の双方について保険料控除の適用を受ける場合の控除の計算

それぞれ次に掲げる金額の合計額(上限4万円)となります。

()新契約の支払保険料等については、上記イ()により計算した金額

()旧契約の支払保険料等については、従前の計算式により計算した金額

 平成24年分以後の所得税について適用されます。

  なお、生命保険料控除の見直しは、個人住民税においても行われ、平成25年度分以後の個人住民税について適用されます。

 

()租税特別措置の廃止・縮減・延長等

〔廃止・縮減等されるもの〕

@特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例について、譲渡資産の譲渡に係る対価の額が2億円以下であることの要件を追加した上、その適用期限が2年延長されます。

平成22年1月1日以後に行う居住用財産の譲渡について適用されます。

A使用者から給与所得者等が住宅資金の貸付け等を受けた場合の課税の特例について、平成22年12月31日の適用期限の到来をもって廃止されるとともに、同日以前に使用者から住宅資金の貸付け等を受けている人に対しては、本特例を引き続き適用するための必要な経過措置が講じられます。

 

〔延長・拡充等されるもの〕

@居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限が2年延長されます。

A特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限が2年延長されます。

B所得税の寄附金控除の適用下限度が2千円(従前5千円)に引き下げられます。

この改正は、平成22年分以後の所得税について適用されます。 

 

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