起業と独立会社設立医療法人の会計税務会社の税務個人の税務中国ビジネス支援

助川公認会計士事務所 個人の税務・所得税 04/05/30
平成14年度税制改正・個人税務

所得税関係の主な改正内容

(1)住宅ローン減税の対象範囲の拡大(措令26関係)

平成15年12月31日までの措置である従前からの住宅ローン税額控除について、その適用対象となる増改築等の範囲に、地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準またはこれらに準ずるものに適合する一定の修理または模様替えが加えられました。適用は、増改築等をした居住用家屋を平成14年4月1日以後に自分の居住の用に供する場合です。

(2)障害者等に対する少額貯蓄非課税制度への改組(所法9の2、10、附則35及び36関係、措法3の4、4、附則3関係)

老人等の少額貯蓄非課税制度(老人マル優制度)は、同制度の適用対象とされている障害者等(身体障害者手帳の交付を受けている者、遺族年金受給者である被保険者の妻、寡婦年金受給者等)に対する少額貯蓄非課税制度に改組されます。適用は、平成18年1月1日からです。なお障害者等に該当しない人については次のとおりです。

平成14年末において65歳以上になっている人……平成14年末に設定されている非課税枠の範囲内で、同17年末まで従前の制度が存続

平成15年1月以降に65歳となる人……非課税制度の対象とならない

(3)上場株式などの売却に係る申告不要等の特例の創設(措法37の11の3〜5関係、附則13〜15関係)

個人が、証券会社に一定の要件を満たす特定口座を設け、その特定口座を通じて取得し管理されている上場株式等を売却した場合の所得金額の計算については、他の株式の売却による所得金額と区別して計算することになりました。そして、その特定口座にかかる上場株式等の売却による所得については、選択によりその売却益の15%の源泉所得税を証券会社が徴収することにより、譲渡者による申告を不要とする制度が設けられました。これは源泉分離課税制度が廃止され申告分離課税制度に一本化されることに伴うもので、平成15年1月1日以後の上場株式等の売却から適用されます。

(4)ストック・オプション税制の拡充(措法29の2関係)

商法の一部改正による新株予約権制度の施行に伴い、特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等の特例制度(ストック・オプション税制)について、次のような改正がなされました。

@適用対象者の範囲拡充

自社の取締役または社員個人に加え、自社が直接・間接に50%超の株式を所有する法人(いわゆる子会社)の取締役または社員個人が新たに対象者となった。

A新株予約権の行使に係る権利行使価額の年間限度額が1,000万円から1,200万円に引き上げられた。

平成14年4月1日以後の特別決議に基づく付与分から適用されます。

(5)会社から住宅取得資金の貸付を受けた場合の経済的利益の非課税(措法29関係)

サラリーマン(給与所得者)が、会社から住宅取得資金の低利または無利息融資あるいは利子補給金などを受けた場合の非課税制度の適用期限が平成16年12月31日まで延長されました。

(6)青色申告特別控除の特例の延長(附則42関係)

不動産所得または事業所得を得る事業を営む青色申告者で、簡易な簿記の方法により記録している者に対する青色申告特別控除(45万円)の特例について、その適用期限が平成17年分まで3年間延長されました。

(7)土地等の譲渡益に対する税率の引き下げ(措法31関係)

土地・建物等の譲渡に係る課税長期譲渡所得金額8,000万円超の部分の税率30%を廃止し25%とされました。なお、この本則の制度は平成15年12月31日まで適用が停止されているので、それまでは一律20%とされています。

※法人税の改正でふれた租税特別措置の廃止や縮減については、個人事業者についてもおおむね法人と同様に改正されます。

 

相続税・贈与税についての改正

(1)取引相場のない株式(中小企業の自社株)などについて相続税の課税価格算入額を減額(措法69の5関係、附則32関係)

個人が相続または遺贈により取得した取引相場のない株式のうち、その会社の発行済株式等の総数の3分の1以下に相当する部分については、次の要件を満たせば、その部分の価額のうち3億円を限度として、相続税の課税価格算入額が10%減額されます。

@その会社の発行済株式等の総額(相続税評価額ベース)が10億円未満であること。

A被相続人等がその会社の発行済株式等の総数の50%以上を所有していて、その親族がこれを相続・遺贈により取得し、かつ、役員等としてその会社の経営に参画していること。平成14年1月1日以後の相続または遺贈により取得する財産について適用されます。

この特例は、次の(2)の特例または小規模宅地等についての特例との選択適用です。

(例)

父・会社経営 自社株(保有割合5割以上) → 子息(後継者)

   事業継承(自社株の相続)相続税の課税価格を10%軽減

 

(2)山林についての相続税の課税対象額を減額(措法69の5関係、付則2関係)

被相続人の親族が相続または遺贈により取得した山林(立木および林地)のうち、その被相続人が森林施業計画を作成しており、かつ、その親族が引き続き森林施業計画に基づく施業を継続していた場合のその森林施業計画が作成されている区域内に存する一定の山林については、相続税の課税価格算入額が5%減額されます。平成14年1月1日以後の相続または遺贈により取得する財産について適用されます。

この特例は、前記(1)の特例または小規模宅地等についての特例との選択適用です。

 

登録免許税が軽減

所有権等の移転登記の登録免許税が軽減(措法83の4関係)

平成14年4月1日から同16年3月31日までの間、一定の要件を満たす中高層耐火建築物およびその敷地を一体として取得した場合の移転登記に対する登録免許税が次のとおり半減されます。

所有権の移転登記……<従前(本則)>5%<改正後>2.5%

地上権または賃借権の移転登記……<従前(本則)>2.5%<改正後>1.25%

 

地方税関係:個人住民税の所得割等の非課税限度額を引上げ

(1)個人住民税の所得割および均等割の非課税限度額の引上げ(地法附則3の3関係、地法令の3関係)

平成14年度分以後の個人住民税の所得割および均等割の非課税限度額が次のように引き上げられました。なお、次の@、Aの加算額は、控除対象配偶者または扶養親族を有する場合のみ加算されます。

@所得割の非課税限度額

<従前>所得金額≦35万円×家族数+加算額32万円

<改正後>所得金額≦35万円×家族数+加算額36万円

A均等割の非課税限度額

<従前>所得金額≦35万円×家族数+加算額19万円

<改正後>所得金額≦35万円×家族数+加算額24万円

(2)個人住民税における土地等の譲渡益に対する税率の引下げ(地法附則34関係)

個人住民税において平成16年度分までその適用が停止されている土地・建物等に係る長期譲渡所得に対する税率について、課税長期譲渡所得金額8,000万円超の部分の税率9%(所得税30%)を廃止するとともに、その部分の税率を7.5%(所得税25%)とされることになりました。

(3)固定資産課税台帳の縦覧制度の見直し(地法382の3,387,416関係他)

固定資産税に対する納税者の信頼確保等のため、固定資産税の情報開示について、次のような措置が講じられました。

@固定資産課税台帳の縦覧制度を改正し、納税者が自己の固定資産税と他の固定資産の評価額とを比較できるようにするため、新たに縦覧帳簿(仮称)を整備する。

A固定資産課税台帳の閲覧制度および固定資産の評価額の証明制度を創設し、併せて、借地人・借家人等が借地・借家対象資産の固定資産税額および都市計画税額を閲覧できるようにする。

 

B10back.gif (1110 バイト)  B10HP.gif (1249 バイト) sukeban.gif (4262 バイト)