助川公認会計士事務所 | 相続税・贈与税 | 04/05/30 |
相続税土地評価額 |
相続税土地評価額が公開されます
地価は、全国的には下落傾向が続いていますが、一部の地域では下げ止まりの兆候も見えはじめ、地価動向は二極分化の傾向が強まっているともいわれています。
相続税の土地評価額(いわゆる「路線価」)は、8月上旬に公開されます。相続税や贈与税の土地評価の基準になるものだけに、どのような内容になるか、多くの人々の関心が集中することでしょう。
相続税の土地評価の仕組みについて説明します。
*路線価公開の理由
相続税や贈与税は相続や贈与によって得た利益(財産の価値)に対して課税されますがら、税金の計算をするためには相続(受贈)財産を評価することが必要です。
土地を初め相続(贈与)財産の中には、上場株式のように市場価値のあるものは少ないので、納税者が安心して、自主的に財産を評価し相続税等の申告をするためには、財産評価の基準となるものが必要になります。
そこで国は、毎年、財産評価基準書で路線価を公開し、相続税等の申告の便宜を図ることにしています。
*土地評価の方法
土地の場合、市街地が形成されている地域では、通りごとに土地の価額が異なるなど複雑な地価事情が見受けられます。これに対して、まで市街地が形成されてないような地域の地価状況は、それほど複雑にはなっていません。
相続(贈与)税の土地評価では、このように地域によって異なる地価事情を考慮して、おおむね、市街地の地域には「路線価方式」、それ以外の地域には「倍率方式」を採用しています。
(1)「路線価方式」
市街地が形成されているなどの地価事情が複雑な地域では、道路に沿っておおむね同じ地価水準にある地域ごとに、基準となる1平方メートルあたりの評価額(路線価)が設定されています。
個々の土地について実際に評価する場合には、この路線価を基とし、その土地が道路に接している状況、形状(奥行きの長短、間口の広狭、不整形の程度など)の良し悪しなどの条件に応じた調整を行って、評価額を算定します。
(2)「倍率方式」
地価事情の類似する地域ごとに、固定資産税評価額に対する一定の倍率が設定されています。
個々の土地について実際に評価する場合には、その土地に付されている固定資産税評価額に、定められた倍率を乗じて評価額を算定します。
※このように、土地の所在する地域によって異なる評価手法が採用されていますが、実際の路線価や倍率は、その年の1月1日を評価時点として、売買事例、地価公示法に基づく公示価格、精通者意見価格等を基とし、全体的な評価バランスに留意して設定されています。
*路線価の確認方法
平成13年分の路線価等は、8月上旬、各国税局で「平成13年分財産評価基準書」として公開される見通しです。
この財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)は、各税務署等で閲覧することができますが、遠隔地の土地の路線価等を確認する方法については、最寄りの税務署に問い合わせてください。
*参考:その他の公的土地評価について
土地の場合、株式市場のようなものが存在しないので、一般の人が土地取引の指標となる地価情報を入手しようとしても容易ではありません。
また、公共事業のための用地買収に際して適正な補償をするためには、その算定基準となる土地等の正常な価額を明らかにしておくことが必要です。
さらに、固定資産税の場合には、課税の基礎となる適正な土地評価額が不可欠です。
このような理由から、現在、前述の相続税評価額を含めて、それぞれ目的等を異につる次の4つの公的土地評価制度があります。
<公的土地評価制度>
*地価公示価格
目的等 一般の土地取引の指標 公共事業の補償金算定の基準 不動産鑑定評価の規準
評価機関(根拠法) 国土庁土地鑑定委員会(地価公示法)
評価時点 1月1日
評価替え 毎年
*基準地価格
目的等 地価公示価格を補完
評価機関(根拠法) 都道府県知事(国土利用計画法)
評価時点 7月1日
評価替え 毎年
評価水準 100%
*相続税評価額
目的等 相続・贈与税の課税
評価機関(根拠法) 国税局長(相続税法)
評価時点 1月1日
評価替え 毎年
評価水準 80%を目途
*固定資産税評価額
目的等 固定資産税の課税
評価機関(根拠法) 市町村長(地方税法)
評価時点 1月1日
評価替え 3年ごと
評価水準 70%程度
(注)1.「評価水準」は、地価公示価格を100%とした場合のものです。
2.固定資産税評価は、売買実例価額から求められる正常売買価格に基づいて適正な時価を評定する方法によっています。
なお、具体的な固定資産税評価額は、市町村長が決定し、固定資産課税台帳に登録されます。
また、固定資産税評価額は、不動産取得税や不動産登記に係る登録免許税の課税の基準としても使用されています。
*金融機関の担保としての評価にも留意
企業経営においては、公的な土地評価制度以外に、金融機関の土地に対する担保価値の評価にも留意する必要があります。
各金融機関では、独自に担保価値の評価額を設定しています。その評価方法として、例えば土地の公図や面積をもとに、不動産鑑定士や不動産屋から昨今の売買実例や隣接地の評価額などを参考に実勢価格を算定し、その70%程度を極度額として根抵当権を設定する方法や、固定資産税評価額の60%程度を担保の掛け目とする方法などが用いられています。土地の価格が全体的に下落傾向にある状況では、担保不足となり金融機関から追加の差し入れの要求が考えられます。土地の評価額を確認し、担保として提供している場合には、担保余力をチェックしておきましょう。