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助川公認会計士事務所 BTzeimu.gif (1548 バイト) 会社の税務 04/05/30
30万円未満の少額資産の損金算入の特例

1.「30万円未満の少額資産の損金算入特例」の概要

 平成15年度税制改正で、中小企業者(個人・法人)を対象に、一時の損金(必要経費)算入が認められる減価償却資産の“少額基準”が、この4月から向こう3年間に限り10万円未満から30万円未満に拡充されました(租税特別措置法第28条の2・第67条の8)。

 特例適用に当たっては、確定申告書等に30万円未満の少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付して申告することが必要とされていますが、国税庁が先に明らかにした取扱いにより、申告書備考欄に所定事項を記載することで明細添付を省略することが認められます。ただし、この場合も、適用した資産の明細は別途保管していく必要があります。

  個人(所得税)・法人(法人税)に対して創設された特例です。この制度は、中小企業者に該当する法人又は農業協同組合等で、青色申告書を提出する法人が、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に取得価額が30万円未満である減価償却資産=“少額減価償却資産”の取得等をして事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その取得価額に相当する金額につき損金経理を条件に一時の損金算入を認めるというものです。

  要するに、法人税法施行令第133条で「10万円未満」とされている法人税上の少額基準を、租税特別措置法により、中小企業を対象として期限付きで「30万円未満」に引き上げたものです。

中小企業者とは、資本若しくは出資の金額が1億円以下の法人(その発行済株式の総数又は出資金額の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人及びその発行済株式の総数又は出資金額の3分の2以上を大規模法人に所有されている法人を除きます)又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人をいいます。

  

2.地方税=固定資産税との関連

 法人税では全額が一時の損金とされても、10万円以上の資産は固定資産税がかかります。

 地方税である固定資産税は土地・家屋・償却資産を課税対象としており、償却資産については「法人税法又は所得税法の規定による10万円未満の資産又は20万円未満で3年・一括償却を適用した資産」は、課税対象外とされます(地方税法施行令第49条)。この点は、平成15年度改正で、国税に“30万円未満”の特例が創設された後も変更はありません。つまり、租税特別措置法により法人税の所得計算では一時の損金算入が認められる“10万円以上30万円未満”の減価償却資産(※20万円未満で一括償却適用資産は除きます。以下同じ)であっても、固定資産税がかかってくるということです。

 従って会計帳簿上は、すべて費用処理され、資産計上されない特別対象資産=“10万円以上30万円未満”の減価償却資産については、別途、固定資産税の台帳管理を要することになります。ただ、最近は減価償却関係でも使い勝手のよい安価なパッケージソフトが普及しており、こうした国税と地方税がかい離した記帳(入力)処理も、意外と簡単にこなせるようです。

 資産を購入した都度、適正に、法人税上は一時償却をおこない、地方税では課税対象として記帳(入力)する必要があります。

3.明細書の添付・管理

  法人税上、特例適用に当たっては、確定申告書等に30万円未満の少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付して申告することとされていますが、国税庁が先に明らかにした取扱いにより、申告書備考欄に所定事項を記載することで明細添付を省略することが認められます。ただし、この場合も、適用した資産の明細は別途保管しておく必要があります。この点もくれぐれも要注意です。

  申告後、2〜3年たって税務調査が行われ、明細の提示を求められたとき、「ありません」「みつかりません」では、一時の損金算入をさかのぼって否認され、改めて法定償却による修正が求められる危険性大だからです。 

4.減価償却の適用関係

中小企業者には、次の3つの方法が用意されており、どれかの方法を選択できます。

 具体例:期首にパソコン1台を15万円で購入

方法 損金算入(限度)額
.即時償却 15万円(全額)
2.一括償却 15万円×1/3=5万円
.普通償却 15万円×0.438=6.6万円(定率法・法定耐用年数4年)

 減価償却制度の適用関係

項目 1.少額減価償却制度 2.一括償却制度 3.通常の減価償却制度
対象事業者 中小企業者等 すべての事業者 すべての事業者
対象資産 30万円未満 20万円未満 すべて
償却方法 即時償却

(即時損金算入)

3年均等償却

(1/3の年償却)

普通償却

(定率法又は定額法)

固定資産税 10万円以上30万円未満の資産は課税 非課税 課税

 

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