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助川公認会計士事務所 BTzeimu.gif (1548 バイト) 会社の税務 05/02/27
平成17年度税制改正のポイント(法人税関連)

法人税関係の主な改正事項です。適用は、平成17年4月1日以降に開始する事業年度からです。

(1)中小企業等の事業基盤強化税制の見直し

「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」(仮称)の制定に伴い、中小企業の経営革新・創業支援のために次の措置が設けられます。なお、「中小企業経営革新支援法」「中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法」および「新事業創出促進法」に係る措置は廃止されます。

 次の措置が講じられますが、これらの措置については、取得に係る税額控除の資本金基準は適用されません。

ア.適用対象に「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」(仮称)の経営革新計画または異分野連携新事業分野開拓計画(仮称)に従って、中小企業者が取得する機械装置が加えられます。

イ.適用対象に「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」(仮称)の一定の中小企業者が設立5年以内に取得する機械装置が加えられます。

(2)事業基盤強化税制の拡充と適用期限の延長

 中小企業等基盤強化税制(中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律「仮称」に関する措置の適用を受ける場合は除く)について、特定旅館業者に係る措置につき、その対象地域の拡大と対象設備の見直しを行うとともに、「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」の認定農業者に係る措置についての設備の見直しをした上、その適用期限が2年延長されます。

(3)中小企業者等に対する同族会社の留保金課税の不適用対象年度の拡大

 中小企業者等に対する同族会社の特別税率の不適用制度について、次の事業年度が対象に加えられます。

ア.「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」(仮称)の中小企業者に該当する同族会社の設立10年以内の各事業年度

イ.「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」(仮称)の経営革新計画の承認を受けた中小企業者の経営革新のための事業を実施している各事業年度

(4)高度技術産業用設備の特別償却

 特定高度技術産業集積地域における高度技術産業用設備の特別償却については、廃止前の「新事業創出促進法」の高度技術産業集積地域であって一定の地域に該当する地域内で取得する機械装置および建物等に係る償却割合を下記のようにそれぞれ引き下げた上、適用期限が2年間延長されます。

 

従前

改正後

機械装置に係る償却割合 15% 14%
建物等に係る償却割合

8%

7%

 (5)人材投資(教育訓練)促進税制の創設

 青色申告書提出法人の所得金額の計算の際に損金(費用)となる教育訓練費の額が、直前2年以内に開始した各事業年度の教育訓練費の平均額を超える場合には、次の金額が特別税額控除として認められます。

その超える部分の金額×25%=特別税額控除額

     3年間の時限措置であり、この税額控除の限度額は、その控除しようとする期の法人税額の10%が限度とされます。

中小企業者等の特例

青色申告書を提出する中小企業者等への優遇措置として、前述の制度に代えて、各事業年度の教育訓練費に対し、表の「特別税額控除割合」による特別税額控除が選択できます。ただし、この税額控除の限度額についても、その控除しようとする期の法人税額の10%が限度とされます。

<特別税額控除割合>

教育訓練費増加割合が40%以上

20%

教育訓練費増加割合が40%未満

教育訓練費増加割合×0.5

     「教育訓練費増加割合」:当期の教育訓練費からその直前2年以内に開始した事業年度の教育訓練費の平均額を控除した金額のその平均額に対する割合です。

     対象となる費用は、講師等の経費、テキスト・教材費、外部施設使用料、研修参加費などが考えられます。

適用は、平成17年4月1日以後に開始する事業年度からです。

 (6)企業再生に対する支援

 民事再生法の再生計画認可の決定等またはこれに準ずる再建計画(一定の要件を満たすものに限る)の合意があった場合には、その債務者である法人について、次の措置が認められます。

ア.その有する資産の評価損および評価益の計上を行う。

イ.上記アの適用を受ける場合には、繰越欠損金のうち青色欠損金等以外の欠損金を優先して控除(債務免除益等の額が限度)する。

     「一定の要件」とは、適正な資産評定に基づく貸借対照表を基礎として債務免除額が定められていることなどです。

 

(7)特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人)等への支援

認定NPO法人制度の認定要件等が次のように見直されます。

@いわゆるパブリック・サポート・テスト(総収入金額のうちに寄付金総額の占める割合が5分の1以上であること)について、直前の2事業年度の平均により算定されることになります。ただし、各事業年度のその割合が10%以上である場合に限られます。

A共益的な活動の制限に係る要件(事業活動のうちに共益的な活動の占める割合が50%未満であること)について、次のとおり見直されます。

  ・会員等の範囲から、NPO法人から資産の譲渡、役務の提供等を受けるのみの者(単なる顧客)を除外する。
  ・いわゆるネットワーク型NPO法人(NPO法人等の運営または活動に関する連絡、助言または援助の活動を行うことを主たる目的とするNPO法人)の会員等に対する助成事業のうち、特定公益増進法人または認定NPO法人が参加する事業が共益的活動の範囲から除外されます。
  ・その割合を直前の2事業年度の平均により算定することとされます。

B運営組織、経理および事業活動に関する要件について、次のとおり見直されます。

 

・役員および社員の親族に係る要件について、親族の範囲を配偶者および三親等以内の親族に限定されます

  ・事業費総額のうちに特定非営利活動事業費の占める割合要件(80%以上)について、直前の2事業年度の平均により算定することになります。
  ・受入寄付金総額の70%以上を特定非営利活動に充当する要件については、直前の2事業年度の平均により算定することとされます。

C認定NPO法人の申請書の添付書類および各事業年度の報告書類について、一定の簡素化が図られます。

D寄付金控除の控除対象限度額を総所得金額等の30%相当額(従前は25%相当額)に引き上げられます。  

 (8)特別措置の見直しなど

@公害防止用設備の特別償却

対象設備に揮発性有機化合物排出抑制設備が加えられるとともに、償却割合を次のようにそれぞれ引き下げた上、適用期限が1年または2年延長されます。 

  従 前 改正後

機械装置等に係る償却割合

16% 14%

一定の構築物に係る償却割合

12% 10%

A医療用機器等の特別償却

 適用対象医療用機器等を見直した上、その適用期限が2年間延長されます。

B優良賃貸住宅等の割増償却

 特定優良賃貸住宅に係る割増率を、次のようにそれぞれ引き下げた上、高齢者向け優良賃貸住宅に係る措置および改良優良賃貸住宅に係る措置の適用期限が2年間延長されます。

  従 前 改正後

耐用年数35年以上のもの

28% 20%

耐用年数35年未満のもの

21% 15%

C倉庫用建物等の割増償却

 「流通業務の総合化および効率化の促進に関する法律」(仮称)の制定に伴い、対象となる事業者および倉庫用建物等の要件が見直されます。

D商業施設等の特別償却

 「中小小売商業振興法」の共同店舗等整備計画に係る措置および「中小企業流通業務効率化促進法」に係る措置をその対象から除外した上、その適用期限が2年間延長されます。

E特定再開発建築物等の割増償却制度について、次のようにそれぞれ見直した上、その適用期限が2年間延長されます。

ア.対象建築物等から都市再開発法の認定再開発事業計画に基づいて行われる再開発事業により整備される建築物が除かれます。

イ.雨水貯留・利用浸透し施設に係る措置について、特定都市河川流域以外の対象施設の貯水容量の最低限度を300㎥(従前は200㎥)に引き上げた上、対象施設に3,000㎥以上の透水性舗装等が加えられます。

F都市再生特別措置法改正に伴う特定再開発建築物等の割増償却

 都市再生特別措置法の都市再生整備事業により整備される一定の建築物について、5年間は普通償却限度額の50%の割増償却を認めることとされます。

G飼料製造設備等の特別償却

 飼料製造設備等の特別償却については、飼料製造設備等に係る措置が除外されるとともに、製造過程管理高度化設備等に係る措置として機械装置および建物等に係る償却割合を下記のように引き下げた上、適用期限が2年間延長されます。

  従前 改正後
機械装置に係る償却割合 12% 10%
建物等に係る償却割合  6%  5%

(9)特別措置の廃止

 次の特別措置が廃止されます。

@鉱工業技術研究組合等に対する支出金の特別償却

A共同で現物出資をした場合の課税の特例

B日本国際博覧会出展準備金   など

 

(10)適用期限の延長

@欠損金の繰戻し還付不適用の延長

 欠損金の繰戻しによる還付の不適用における「産業活力再生特別措置法」の設備廃棄等欠損金額に係る適用除外措置の適用期限が2年間延長されます。

A特別法人税(退職年金積立金)の課税停止延長

 退職年金等積立金に対する法人税(特別法人税)の課税停止の措置が3年間延長されます。

 

(11)社会保険診療の範囲の拡大

 特定医療法人の法人税率の特例に係る社会保険診療の収入割合の計算について、健康増進法に基づく健康増進事業の健康審査による収入金額を社会保険診療に係る収入金額に含めることとされます。

 

(12)その他

@電子取引情報の電磁的記録の保存

 電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」に定める要件に適合した保存が行われていない場合には、保存義務者に係る法人税(所得税の場合もある)の青色申告の承認の取消しおよび連結納税の承認の取消しの対象とされることとなります。この電磁的記録には、書面または電子計算機出力マイクロフィルムに出力したものが含まれます。適用は、平成17年4月1日以後に行う電子取引の取引情報からです。  

A公益法人等の収益事業に係る課税について、民間都市開発推進機構が平成17年4月1日以後に行う不動産販売業を引き続き課税対象となる収益事業の範囲から除くこととされます。

B上場会社等の自己の株式の公開買い付けの場合のみなし配当課税の特例の適用期限が2年延長されます。

 

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