助川公認会計士事務所 | 会社の税務 | 14/04/10 |
平成26年度税制改正 会社税務 |
適用は、平成26年4月1日以降から適用です。
平成26年度税制改正の考え方
企業関連の改正として、設備投資への減税や復興特別法人税の前倒しの廃止など企業の税負担の軽減が図られます。
①復興特別法人税の廃止
3年間にわたり法人税額の10%を上乗せし増税となっている複興特別法人税が1年間前倒して平成25年度で廃止されます。3月決算法人の場合、平成26年4月1日から開始する事業年度(平成26年度)より復興特別法人税の申告・納付が必要なくなります。
復興特別法人税の課税期間終了後、利子・配当等に課される復興特別法人税については、次のように法人税額から控除することになります。
各事業年度の法人税額―(利子・配当等に課される所得税額+利子・配当等に課される復興特別所得税
*復興特別所得税額で法人税額から控除しきれなかった場合は、その金額は還付されます。
②交際費等のうち飲食費の50%の損金算入が可能になる
大企業(資本金1億円超)について
交際費等の損金不算入制度において、これまで全額損金不算入だった大企業(資本金1億円超)について、飲食のために支出する費用(以下[飲食費])の50%までの損金算入が認められます。
飲食費には、その法人の役員、従業員等に対する接待等のための費用(社内接待費)は含まれません。
飲食費以外の交際費は、課税対象となります。
飲食費については、50%が課税対象となり、飲食費の50%が損金算入となります。
1人当たり5千円以下の飲食費は、税務上の交際費に該当しないので、損金算入となります。
中小企業について
現行制度との選択適用となります。
現行制度とは、交際費800万円まで損金算入できます。
なお、現行の損金算入特例と大企業の取扱のどちらかを選択適用できることになります。現行の損金算入特例の適用期限は2年延長されます。
適用期間
平成26年4月1日から平成28年3月31日までに開始する事業年度に適用されます。
③ 生産性向上設備投資促進税制
生産性を向上させる先端設備及び生産ラインやオペレーションを改善する設備を取得らした場合、特別償却または税額控除(当期の法人税額の20%を上限)のどちらかを適用できる制度が創設されます。
生産性向上設備投資促進税制の内容
|
取得日 |
~平成28年3月31日 |
平成28年4月1日~同29年3月31日 |
特別償却 |
対象設備 |
即時償却 |
50%特別償却 |
建物・構築物 |
25%特別償却 |
||
税額控除 |
対象設備 |
5% |
4% |
建物・構築物 |
3% |
2% |
生産性向上設備投資促進税制の対象設備
生産性向上設備投資促進税制の対象となる設備は、「先端設備」と「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」で、それぞれの要件が下記のように定められています。
➀「先端設備」は、図表の最新モデルの要件及び取得規模の要件を満たすもので、旧モデルと比べて年平均1%以上生産性向上させるものです。
②「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」は、取得規模の要件を満たし、かつ設備投資計画案の投資利益率が5%以上(中小企業者等以外は15%以上)のものです。
対象設備の要件
|
先端設備・最新モデルの要件 |
先端設備・生産ラインやオペレーションの改善に資する設備(取得規模の要件) |
機械装置 |
販売開始10年以内 |
1台または1基:160万円以上 |
工具 |
販売開始4年以内 |
1台または1基:120万円以上(それぞれ1台または1基が30万円以上で、かつ一事業年度の合計額が120万円以上のものを含む) |
器具備品 |
販売開始6年以内 (サーバーは中小企業者等のみ) |
|
建物、建物附属設備 |
販売開始14年以内 |
それぞれ120万円以上(建物附属設備については、一の取得価額が60万円以上で、かつ一事業年度におけるその取得価額の合計額が120万円以上のものを含む) |
ソフトウェア |
販売開始5年以内(中小企業者等に限る) |
それぞれ70万円以上(一つが30万円以上で、かつ一事業年度の合計額が70万円以上のものを含む) |
適用期間
平成26年1月20日(産業競争力強化法施行日)から平成29年3月31日までの間に対象設備の取得等をした場合に適用されます
④ 給与支給総額の2%以上増加で減税になる
所得拡大促進税制は、従業員の給与等の支給額を一定以上増加させた場合に、増加額の10%を税額控除できる制度です(法人税額の20%[中小企業等以外は10%]を限度)が、以下のような見直しが行われ、適用期限が2年延長されます。
①給与等支給増加割合の引下げ
適用要件である、平成24年度と比較して「支給総額の5%以上増加」が以下の通り引下げられます。
給与等支給増加割合の要件の改正
改正前 |
支給総額の5%以上増加 |
平成27年3月31日以前に開始する事業年度 |
支給総額の2%以上増加 |
平成27年4月1日~同28年3月31日までの間に開始する事業年度 |
支給総額の3%以上増加 |
平成28年4月1日~同30年3月31日までの間に開始する事業年度 |
支給総額の5%以上増加 |
② 給与支給額平均の見直し
適用要件である「給与等支給額の平均が前事業年度以上」の「平均」を算出する際の集計の対象となる給与等が見直され、「前事業年度を上回る」に変更されます。
改正前・・・・国内雇用者に対する給与等
改正後・・・・退職者・再雇用者・新卒採用者を除いた継続雇用者に対する給与等
適用
平成25年度当初に遡って適用されます。既に決算を終えている企業については、平成26年度に税額控除額を上乗せできます。