助川公認会計士事務所 | 交際費の税務 | 08/03/22 |
交際費 1人当たり5,000円以下の飲食費をめぐる疑問 |
(平成18年度)の税制改革で、1人当たり5,000円以下の飲食費が交際費等の範囲から除かれ、損金算入(費用として認められ課税されない)ができるようになりました。しかし、実際に飲食費等の経理処理の際に判断に迷うケースがあるようです。
1.飲食費の範囲 交際費から除かれる飲食費
交際費から除かれる飲食費とは、「飲食その他これらに類する行為(飲食等)のために要する費用(役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のための支出(=社内飲食費)は除く)」で、1人当たり5,000円以下であるものとされています。通常は、社員が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」(1人当たり5,000円以下)ということになります。
ただし、あくまでも「飲食等のために要する費用」であって、5,000円以下の支払いなら何でも交際費の範囲から除かれるということではありませんので注意して下さい。
2.レストランで得意先と会食。サービス料の費用も飲食費に含まれるか
通常、飲食等をするために必要な費用であることから、例えばテーブルチャージ料やサービス料など、飲食店等に直接支払うものは飲食費に含まれます。
ただし、得意先を飲食店(この場合はレストラン)へ送迎するためにタクシーを使った場合には、そのタクシー代は、「接待・供応にあたる飲食を目的とした送迎のために要する費用」として、交際費になります。
3. 親会社の役員等を接待、その飲食費
資本関係が100%である親会社の役員等であっても、また連結納税の適用を受けている各連結法人の役員等であっても、相手方は社外の人となります。したがって社内飲食費には該当せず、1人当たり5,000円以下であれば交際費等の範囲から除くことができます。
4. 業者へのお弁当
自社の店舗改装工事が夜遅くまでかかったため、慰労もかねて業者の人たちに弁当を差し入れました。弁当代は1人当たり5,000円以下でしたが、交際費等になるかどうか。
この場合の弁当は、得意先等において差入れ後相応の時間内に飲食されるため、この弁当代は、「飲食その他これらに類する行為のために要する費用」として、交際費等の範囲から除くことができます。
ただし、単なる飲食物の詰め合わせなどを贈る場合は、いわゆる中元・歳暮と変わらないため、原則的に交際費になります。
5.二次会の費用
得意先をレストランで接待した後、二次会でスナックに行きました。この場合は、二次会の費用も合計して1人5,000円かどうかを判定するか。一次会と二次会において全く別業態の飲食店等を利用するなど、それぞれの行為が単独で行われていると認められるときは、合計額ではなくそれぞれの飲食費ごとに1人当たり5,000円以下かどうかを判定します。
ただし、例えば実質的に同一の飲食店での飲食等にもかかわらず、分割して支払ったと認められるときなどは、その行為全体にかかる飲食費をもとに1人当たり5,000円かどうかを判定することになります。
「1人当たり5,000円以下の飲食費」とは、中に5,000円を超える人がいても、平均(飲食費等としての支出金額÷その飲食等の参加者)して5,000円以下ならOKということです。
6.役員会の際の飲食費が1人当たり5,000円を超えた場合
従来からの交際費等に該当しない会議費等(会議に関連して、茶菓、弁当、その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用など)については、たとえ1人当たり5,000円を超えても、それが通常要する費用と認められるものに限り、交際費等には該当しないと思われます。ただし、あくまでも実態で判断されます。
7.必要経費として認められるために必要な書類
・1人当たり5,000円以下の飲食費等の領収書が必要です。
飲食費が交際費等から除外され必要経費として認められるには、次の5つの事項を明らかにしなければなりません。そのため領収書のほかに、それらの事項を記載した書類を作成し保存することが必要です。
@飲食等の年月日
A飲食等に参加した得意先、仕入先など事業に関係ある者の氏名または名称およびその関係
Bその飲食に参加した者の数
Cその費用の金額並びに店名とその住所
Dその他参考となるべき事項
また、飲食費以外の支出についても、その支出がいつ誰と何のためにいくら支出したのか客観的に分かるようにしておきましょう。
なお、会社の交際費支出が税務上損金にならないとしても、企業活動でどうしても必要な支出であれば、課税されるとしても支出すべきであることは言うまでもありません。