助川公認会計士事務所 | 交際費の税務 | 04/10/28 |
交際費の事例 |
税務上の「交際費等」は範囲が広い
定義・規定 税務上では、交際費等とは「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先、その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出されるもの」とされています。ただし、「寄付金」や「値引き及び割戻し」「広告宣伝費」「福利厚生費」「給与等」の性格を持つものは、交際費等に含まれません。このように税務上では範囲を広くしています。
「交際費等」及び損金不算入については、租税特別措置法第61条の4に規定されています。なお、同条において「専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用その他政令で定める費用を除く」とされています。
租税特別措置法関係通達61の4(1)−1では交際費等の意義について規定しています。
従業員等への供与でも交際費の対象になる!?
交際費の相手先は、得意先や仕入先といった「事業に直接関係ある人」だけでなく、次のような人も含まれます。
●「間接的に利害関係にある人」、役員、従業員、株主など
したがって、例えば役員や従業員に対して供与する飲食等が、税務上福利厚生費ではなく交際費として扱われる場合がでてきますので注意が必要です。
事例1:得意先の社長を料亭で接待した。帰りがけにはお土産を渡し、自宅までタクシーで送った。 |
→料亭での接待費用及びお土産代は、当然交際費です。タクシー代は実費を支払い領収書があっても、この場合料亭での接待の際のものであり、目的が接待、供応であるため交際費に含まれます。
交際費等は「……その他これらに類する行為のために支出するもの」とされています。これは接待、交際費等のために直接支出するものだけでなく、これらに伴って支出した一切を含むという意味です。したがって、得意先を接待した際に支出するタクシー代は、「相手方を迎えに行くもの」「相手方と同乗して接待場所に行くもの」「接待後相手方を自宅に送るもの」「接待をした側が帰宅するもの」すべてが交際費となります。
事例2:営業担当者とのコミュニケーションを図るため、その営業担当社員と社長が高級レストランで飲食した。 |
→この場合、社員であっても「営業担当社員」という特定の社員のみを対象としているので、福利厚生費ではなく交際費になります。
福利厚生費と交際費等との区分については租税特別措置法関連通達61の4(1)-10に規定されています。
事例3:取引先の人と社内で商談を行っていたが、昼食時となったので近くのレストランで1人1本ほどのビールとランチ程度の食事をしながら商談の続きを行った。 |
→この食事は「通常供与される昼食程度」の範囲内と考えられますので、会議費としても差し支えありません。ただし商談をすべて終えた後で懇談会を開催した場合は、その懇談会の費用等は交際費になります。
交際費と隣接費用 交際費と紛らわしい隣接費用については下記にまとめてみました。参考にしてください。
交際費になる費用 |
交際費にならない費用 | |
− |
低廉譲渡、個人的費用 | 人件費 |
・記念行事における宴会、・記念品等の費用得意先、仕入先等への慶弔費用 ・特定従業員だけの宴会費用 |
・社内の運動会、旅行等の費用 ・社内行事において従業員に一律に供与された飲食費用 ・従業員に一定の基準で支給される慶弔、表彰の費用 |
福利厚生費 |
・接待等のためのタクシー代 | ・展示会、工場見学等への招待費用(交通費、食事代、宿泊費等) | 旅費交通費 |
・右掲以外の金品の交付、旅行等の費用 |
・カレンダー、手帳等の多数の者に宣伝を意図して交付する少額物品 ・一般消費者に抽選、引換券付販売により交付する金品、旅行等の費用 ・一般消費者への試飲、モニター謝礼等の費用 ・得意先への見本品、試用品等の費用 |
広告宣伝費 |
・売上高等に比例して交付するものであっても、右掲以外のものあるいは旅行等への招待費用又はその負担額として交付するもの |
・売上高等に比例して事業者へ交付する金銭、事業用資産、少額物品 ・得意先への景品付販売で少額かつ種類及び金額の確認ができるもの ・あらかじめ明らかにされている基準により特約店等のセールスマン又は従業員に対して金銭又は物品で交付する販売手数料(この販売手数料の支払いを旅行、観劇等で行う場合も含む) |
販売促進費、販売割戻し手数料 |
・ゴルフクラブの年会費、プレー代、ロッカー代、ライオンズクラブ・ロータリークラブ等の入会金、経常会費等 | ・会議費に関連した茶菓子、弁当、飲食等の費用(社内又は通常会議を行う場所において、通常供与される昼食程度のもの)
・協同組合等に対する会費 |
会議費・会費等 |