助川公認会計士事務所 | 会社の税務 | 10/10/23 |
消費税の実務知識 間違いやすい消費税実務 |
消費税の実務では、非課税取引、不課税取引、免税取引についての誤りが多く見受けられます。これらはいずれも消費税のかからない取引ですが、その判断を間違えて処理してしまうと、消費税額を正しく計算することができません。
消費税は、会社や個人事業者が、日本国内で、商品・製品を売買したり、サービスを提供したり、経費を支払ったり、事業用設備を売買したり、権利やノウハウの貸し借りや輸入などをしたときにかかる税金です。これら消費税がかかる取引のことを課税取引といいます。
反対に、消費税がかからない取引には非課税、不課税、免税取引の3つがあります。これらの取引は、消費税がかからないという点では同じですが、それぞれを正しく処理しないと、消費税額に影響します。
1.非課税取引〜法令で課税しないことにされている取引
本来は課税取引になるものですが、課税対象としてなじまないものや社会政策的配慮からあえて法令で非課税としている取引です。
主な非課税取引の例
・ 土地の譲渡と貸付、住宅の貸付(家賃)
・ 有価証券の譲渡
・ 貸付金、預貯金の利子、信用保証料
・ カード会社に支払うクレジットの手数料
・ 切手、印紙、証紙の譲渡(金券ショップでの購入を除く)
・ 出産費用、埋葬料と火葬料
・ 法令に基づく国、地方公共団体等の手数料
・ 社会保険診療等 など
2.不課税取引〜消費税とは関係ない取引
原則として、国内で行なわれる取引と輸入取引は課税取引として消費税がかかりますが、これらに該当しない国外で行なわれる取引、寄付や贈与など対価を得ない取引などを不課税取引といいます。
これは、消費税という枠組みの外で行なわれる取引であるため消費税がかからないのです。そのため、不課税取引は、消費税額の計算にまったく影響しない取引になります。
主な不課税取引の例
・ 給与・賞与の支払い、出向社員の給与負担金
・ 冠婚葬祭の祝い金、見舞金、ご祝儀、香典
・ 資産の無償での貸付
・ 損害賠償金、交通事故の示談金
・ 贈与(自家消費などは除く)や寄付金
・ 税金の支払い
・ 株式配当
・ 受取保険金
3.免税取引〜法令で税率を0%にしている取引
免税取引は、本来は課税取引であるけれども、税率を0%にし、消費税を免除している取引です。輸出売上や外国の事業者等に対するサービスなど輸出類似取引がこれにあたります。
それぞれの取引について、それが課税か非課税、不課税かなどを判断するのはなかなか難しいのが実状です。
そのため、自社でよく行なう取引については、あらかじめ判定の一覧表などを作成しておくといいでしょう。
以下に、間違えやすい例を挙げてみました。
@出張の日当、交通費、宿泊費などは国内か海外かで異なる
原則として海外出張の費用は不課税です。
○国内出張 課税取引※入湯税は不課税
○海外出張 不課税取引 ただし次のようなものは課税
・国内での出発前・帰国後の宿泊費、交通費を別途支給
・成田、関西、中部国際空港等で出国者が支払う旅客サービス施設使用料など
・出張先への土産物を国内で購入したとき など
A冠婚葬祭の費用は金銭支出か物品購入かで異なる
冠婚葬祭についての費用は、金銭の支出か物品を購入して贈るかによって異なります。
・祝い金、見舞金、香典など…不課税取引
・花束、花輪、果物等の贈答…課税取引
B接待ゴルフの費用には不課税のものも含まれている
接待ゴルフのプレー代金は、おおむね課税取引になります。ただしゴルフ場利用税は不課税です。
・ゴルフのプレー代金…課税
・ゴルフ場利用税…不課税
・キャディー等へのチップ…不課税
・ゴルフコンペへの商品購入…課税
Cガソリンと軽油では消費税の処理が異なる
ガソリンスタンドで給油する場合、ガソリンと軽油では消費税の処理が異なります。
ガソリン代は課税仕入になりますが、軽油は軽油購入代金のうち、軽油引取税部分については不課税取引になります。
※ 購入時の明細書に「軽油代」と「軽油引取税」がきちんと区分表示されていれば、軽油代のみが課税仕入になります。区分されていなければ、全額が課税仕入になります。