助川公認会計士事務所 | 会社の税務 | 10/11/3 |
消費税の実務知識 固定資産の売却 リース処理 |
1.固定資産の売却の消費税処理
自社の商品を販売したり、サービスを提供したときには、当然、消費税がかかりますが、販売目的でない事業用資産等を売却した際にも、消費税がかかります。例えば、建物、機械設備、器具備品、車両等の有形固定資産やソフトウェア等の無形固定資産の売却などです。
しかし、土地や借地権、有価証券の売却には、消費税はかかりません。
@ 売却損益ではなく売却収入に消費税がかかる
固定資産を売却した際、法人税では、帳簿価格と売却代金(収入)との差額である売却損益が課税の対象となりますが、消費税では、売却代金(収入)に対して消費税がかかります。
【例】 機械装置(帳簿価格400万円)を315万円(税込)で売却したときの消費税処理
この場合は、売却収入の315万円のうち消費税は15万円(315万円×5/105)になります。
これを理解しやすくするため複合仕訳で説明すると次のようになります(減価償却の処理方法は直接法)。
借方 |
貸方 |
現金 315万円 固定資産売却損 100万円 |
機械装置 400万円 仮受消費税等 15万円 |
【例】 機械装置(帳簿価額400万円)を525万円(税込)で売却したときの消費税の処理
この場合は、売却収入の525万円のうち消費税25万円(525万円×5/105)になります。
借方 |
貸方 |
現金 525万円 |
機械装置 400万円 固定資産売却益 100万円 仮受消費税 25万円 |
A土地と建物の一括売却は、建物部分にのみ消費税がかかる
倉庫や工場など建物の売買には、消費税がかかりますが、土地の売買は非課税取引であるため消費税はかかりません。
そのため、建物とその敷地を一緒に売却するような場合には、建物部分と土地部分を区分することになります。通常は契約書で価額が明記されています。
【例】 倉庫(帳簿価額200万円)とその敷地の土地(帳簿価額300万円)を、510万円で一括して売却(倉庫部分210万円<税込>、敷地部分300万円)したときの消費税の処理
売却収入のうち、土地部分300万円には消費税がかからず、倉庫部分の210万円のうち消費税は10万円(210万円×5/105)になります。
借方 |
貸方 |
現金 510万円 |
土地 300万円 建物 200万円 仮受消費税等 10万円 |
2.固定資産のリースの消費税処理
パソコン、コピー機などの事務機器や自動車などをリースすることがあります。
リースによる場合、中小企業には、賃貸借処理(経費で計上すること)が認められていることから、多くの企業が賃貸借取引で行なっています。
この場合、リース資産が、消費税の課税対象となる資産であれば、そのリース料に消費税がかかります。
【例】 5年リースで事務用機器を取得し、契約内容は、リース料総額126万円(税込)、毎月21,000円を支払、60回の支払で終了します。
会計処理は賃貸借処理で行なうとき
この場合は、毎月のリース料に消費税がかかる分割控除か、リース初年度にリース料の総額に消費税がかかる一括控除かを選択することができます。
@分割控除の場合
毎月のリース料支払時の仕訳
毎月のリース料の支払時に、消費税がかかります。
借方 |
貸方 |
リース料 20,000円 仮払消費税等 1,000円 |
現金 21,000円 |
A一括控除の場合
リース資産の取得時の仕訳
リース料総額126万円のうち消費税は6万円(126万円×5/105)を計上します。
借方 |
貸方 |
仮払消費税等 60,000円 |
未払金 60,000円 |
毎月のリース料支払時の仕訳
借方 |
貸方 |
リース料 20,000円 未払金 1,000円 |
現金 21,000円 |
一括控除は、リースした最初の年度に仮払消費税等60,000円の金額を仕入税額控除できるというメリットがあります。
しかし、会計処理が煩雑であることから、分割控除を採用する企業が多いようです。