助川公認会計士事務所 | 会社の税務 | 10/05/22 |
出向先法人が支出する負担金に係る役員給与の取扱い |
1.出向社員の給与の取扱
出向先法人が支出する給与負担金に係る給与の取扱いについて
A社:出向元の会社
B社:出向先の会社
会社(A)の使用人が他の法人(B)に出向した場合に、その出向者の給与を従来どおり出向元の会社(A)が支給することとしている時、
その支給金額は、A社の給与として経理処理される。
難しく言うと、
出向先の法人(B)が自己の負担すべき給与に相当する金額を出向元の法人に給与負担金として支出したときは、出向先の法人がその出向者に給与を支払ったものとして取り扱われます。
2.使用人か役員かで税務上の処理が異なる
この場合の給与負担金の取扱いは、
@出向者が出向先の法人において使用人となっているか
A役員になっているかにより異なります。
具体的には次のとおりとなります。
@ 出向者が出向先の法人において使用人である場合
その給与負担金の額は、出向先の法人における使用人に対する給与として、原則として、損金の額に算入されます。
A 出向者が出向先の法人において役員となっている場合
その役員に係る給与負担金については、出向先の法人の役員報酬として処理されるので、役員報酬としての税務上の規定が適用されます。
次のような事務処理がなされる必要があります
・その役員に係る給与負担金の額について、その役員に対する給与として出向先の法人の株主総会の決議がされていること。
・ 出向契約等においてその出向者に係る出向期間及び給与負担金の額があらかじめ定められていること。
3.出向先の法人の給与金額が多い時、注意すべき点
出向先の法人の給与金額 > 出向元の法人の給与金額 の時、
その超える部分の金額については給与負担金としての性格はないこととなります。
したがって、そのことについて合理的な理由がない場合には、出向元の法人に対する寄附金として取り扱われることになりますので注意してください。
4.出向者に対する給与の較差補てん金の取扱い
会社(A)の使用人が他の法人(B)に出向した場合に、その出向者の給与を従来どおり出向元の会社(A)が支給することとしている時、
出向先の法人(B)の給与金額 < 出向元の法人(A)の給与金額 の時、
出向元の法人が出向先の法人との給与条件の較差を補てんするため、出向者に対して給与を多く支給することとなる。
出向者と出向元の法人との雇用契約が出向期間中であっても依然として維持されているということから、出向元の法人の損金の額に算入されます。
また、例えば次のような場合も、給与較差補てん金として取り扱われます。
(1) 出向先の法人が経営不振等で出向者に賞与を支給することができないため、出向元の法人が代わりにその出向者に賞与を支給する場合
(2) 出向先の法人が海外にあることから、出向元の法人が留守宅手当を支給する場合
この給与較差補てん金は、出向元の法人が出向者に直接支給しても、出向先の法人を通じて支給しても同様に取り扱われます。