助川公認会計士事務所 | 交際費の税務 | 04/10/28 |
渡切交際費の取扱い |
渡切交際費とは役員又は従業員に交際費等法人の業務のために使用する目的で金銭の支出をしたにもかかわらず、その使途、使用金額について精算されないものをいいます。
渡切交際費は支給を受けた役員、従業員の給与となるので交際費に該当しません。
法人の役職者は関係先との折衝等のため不時の出費を要することがありますので、その準備として法人から金銭の仮払を受ける場合があります。会社の業務のために使用した段階で領収証等を添付して精算すべきですが、使途を明らかにするのをはばかるものもあるようで精算されないものが残ります。この場合使途が説明されないもののなかに、当該役職員が個人的に使用し法人の業務に関係のないものがあるかもしれませんので、使途不明部分をそのまま交際費等の費用に計上することはできません。
このため渡切交際費は支給を受けた者に対する給与とし、交際費としません。措通62(1)−10(3)の「機密費、接待費、交際費、旅費等の名義で支給した金額でその費途が不明であるもの又は法人の業務に関係がないと認められるもの」とは、この渡切交際費のことです。
以上によって渡切交際費は給与ですから、毎月定額により役員に支給される場合は定期の給与として役員報酬となります。(法基通9-2-16(3))この結果、過大役員報酬となる場合又は臨時の給与として役員賞与となる場合を除いて損金算入されます。しかし渡切交際費の支給を受けた役員又は従業員は、法人の業務のために使用した支出金についてまで所得税及び住民税の負担を要することになりますので、積極的に使途を秘匿してまで渡切交際費とするのはよほどの場合でしょう。法人税の課税を免れるために使途を秘匿して渡切交際費としたときは、税務当局側で使途が解明できない以上交際費と認定することはできませんが、過大役員報酬損金不算入の規定(法34.1)が厳しく適用される場合がありましょう。