助川公認会計士事務所 | 会社の税務 | 06/10/23 |
事前確定届出給与について |
1.事前確定届出給与とは
「定期同給与」および「利益連動給与」以外に役員に支給する給与(退職給与等を除く)で支給時期、支給額があらかじめ定められており、その内容に関する届出書を所轄税務署長に提出しているものについては、原則として損金算入が認められます(平成18年4月1日以後開始の事業年度から)
例えば、年俸1,500万円とされている役員に対して、月々100万円、6月と12月に各150万円を別途支給する場合(支給合計1,500万円)
従来の場合 | (平成18年3月31日以前に開始する事業年度まで) | |
たとえ、役員への支給総額が決められた年俸額の範囲内であり、また、その金額が妥当な水準であったとしても、6月と12月の別途支給分(300万円)は役員賞与として損金になりませんでした。 | ||
事前確定届出給与の場合「平成18年4月1日以後開始の事業年度からは」 | ||
届出期限までに、所定の事項を記載した届出書を所轄税務署長に提出することによって、別途支給分も原則として損金算入が認められます。 |
2.事前確定届出の期限は
「その給与に係わる職務の執行を開始する日」と「期首から3か月を経過する日」とのいずれか早い日(届出期限)までに届け出る必要があります。
「事例」 | ・3月決算法人の「H19年4月〜20年3月」期 |
・200万円を事前確定届出給与とし、12月と翌年6月の賞与支給時期に各100万円支給する(別途、定期同額給与を支給) | |
・事前確定届出給与に係る職務執行の開始日は、株主総会の日(5月25日)とする | |
この場合、事前届出の期限はいつか | |
職務執行の開始日は、平成19年5月25日である。 | |
期首から3か月を経過する日は、平成19年6月30日である。 | |
ゆえに、届出期限は「平成19年5月25日」となる。 |
(注)平成18年4月1日以後最初に開始する事業年度(3月決算であれば、「H18.4.1〜19.3.31」期)の特例として、上記の「いずれか早い日」が平成18年6月30日以前の日となる場合は、届出期限は「平成18年6月30日」とされます。
3.事前届出の書類に記載する事項
@事前確定届出給与の支給対象者の氏名・役職名
A事前確定届出給与の支給時期とその支給時期における支給金額
BAの支給時期・支給金額を定めた日および定めた機関等
C事前確定届出給与に係る職務の執行開始日
D事前確定届出給与について、定期同額給与として支給しない理由および支給時期をAの時期とした理由
Eその事業年度において、事前確定届出給与の支給対象者に事前確定届出給与とそれ以外の給与とを支給する場合の、事前確定届出給与以外の給与の支給時期とその支給時期における支給金額
Fその事業年度の直前の事業年度において、事前確定届出給与の支給対象者に支給した給与の支給時期とその支給時期における支給金額
Gその事業年度における、事前確定届出給与の支給対象者以外の役員への給与の支給時期とその支給時期における支給金額
Hその他参考となるべき事項
4.非常勤役員への定期同額でない給与支給
非常勤取締役や会計参与などの非常勤役員に対して、定期同額給与でない場合は、事前届出を届出期限までに行う必要があります。
月々同額の給与を支払うのであれば、定期同額給与に当たりますから、事前届出の必要ありません。しかし、半期ごとの支給、ありいは四半期ごとの支給といったケースは、たとえ各支給時期ごとの支給金額が同額であっても定期同額給与に該当しませんので、事前届出をしなければ損金算入が認められないことになります。