助川公認会計士事務所 | 会社の税務 | 06/10/26 |
損金不算入となる過大な役員給与の判定基準 |
1.損金不算入となる過大な役員給与
各事業年度において役員に支給した給与のうち、不相当に高額な部分の金額は損金に算入することができません。
損金算入が認められない「不相当に高額な部分の金額」とは、次の@〜Bの合計額です(平成18年4月1日以後開始の事業年度から)
@ | 退職給与以外の役員給与の過大部分 | 一定の判定基準に照らして、その役員に対する給与として相当と認められる額を超える金額 |
A | 役員退職給与の過大部分 | 一定の判定基準に照らして、その役員に対する給与として相当と認められる額を超える金額 |
B | 支給時期の異なる使用人兼務役員の使用人分賞与 | 使用人兼務役員の使用人としての職務に対する賞与で、他の使用人への賞与の支給時期と異なる時期に支給したものの金額 |
2.退職給与以外の役員給与についての過大判定基準
形式基準 |
定款の規定、株主総会等の決議によって定められている役員給与の支給限度額等を基準とする。 → 支給した役員給与のうち、定められた支給限度額を超える金額は、過大な役員給与となる |
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実質基準 | 下記の状況を総合的に勘案し、算定した金額を基準とする
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いずれか多い金額が、不相当に高額な部分として損金不算入となる。
3.「実質基準」と「形式基準」の適用上の違い
形式基準 | 実質基準 | |
対象法人 | 支給限度額等の定めのある法人に適用 | 支給限度額等の定めの有無に関係なく、すべての法人に適用 |
対象役員 | 支給限度額等が定められている役員だけが対象 | 役員全員が対象 |
判定単位 | 対象役員の給与の合計額が支給限度額等を超えているかどうかを判定。ただし、支給限度額が個々の役員ごとに定められている場合は、その役員ごとに判定 | 個々の役員ごとに給与の適正額を判定 |
使用人兼務役員について | 使用人兼務役員に対する使用人分給与を除いて支給限度額等が定められている場合は、支給した使用人分給与から、使用人分給与として相当な金額を除いて判定 | 使用人分給与を含めて判定 |
(注1)損金算入となる「支給時期の異なる使用人兼務役員の使用人分賞与」は除外します。
(注2)その法人における他の使用人への給与の支給状況等に照らし、その使用人兼務役員の使用人分給与として相当と認められる金額
4. 役員退職給与の過大判定基準
【判定基準】 | |
・業務に従事した期間 | |
・退職の事情 | |
・同種の事業を営み、事業規模が類似する他の法人の役員退職給与の支給状況 等 |
支給した退職給与のうち、上記の基準に照らして相当と認められる金額を超える額が不相当に高額な部分として損金不算入となる。