助川公認会計士事務所 | 会社の税務 | 06/11/04 |
特殊支配同族会社でも役員給与の損金算入 が制限されない場合 |
1.給与所得控除相当額の損金不算入規定は適用されない場合
特殊支配同族会社に該当する場合でも、次の(1)〜(3)の事業年度については、損金不算入規定は適用されません。
(1)「基準所得金額が800万円以下」である事業年度
(2)以下の@、Aのいずれにも該当する事業年度
@ | 基準所得金額が「800万円超〜3,000万円以下」 |
A | 基準期間(その事業年度の開始の日前3年以内に開始した事業年度)における業務主宰役員の平均給与額が、「基準所得金額×50%」以下 |
(3)基準期間がない場合(設立第1期目など)で、以下の@またはAに該当する事業年度
@ | 当年度基準所得金額≦800万円 |
A | 「当年度基準所得金額が800万円超3,000万円以下」で、かつ、「業務主宰役員給与≦(当年度基準所得金額×50%)」 |
2.「基準所得金額」の計算例
基準期間とは、その事業年度の開始の日前3年以内に開始した事業年度である。
基準所得金額= | (基準期間の調整所得金額の合計−基準期間の調整欠損金額の合計−過年度欠損金額の調整控除額の合計)÷3 |
「調整所得金額」とは
@)所得金額のある事業年度 | |
調整所得金額=所得金額+業務主宰役員給与額+青色繰越欠損金の控除額 | |
A)欠損金額が生じた事業年度(「業務主宰役員給与額≧欠損金額」の場合) | |
調整所得金額=業務主宰役員給与−欠損金額 |
「調整欠損金額」とは
欠損金額が生じた事業年度で、「業務主宰役員給与額 < 欠損金額」の場合
「調整欠損金額=欠損金額−業務主宰役員給与額」
計算例(1)「過年度欠損金額の調整控除額はないものとする」
所得金額 △欠損金額 | 青色繰越欠損金控除額 | 業務主宰役員給与額 | 調整所得金額 | 調整欠損金額 | |
前々々期 | 500 |
− |
1,000 | 1,500 |
− |
前々期 | △400 |
− |
1,000 | 600 |
− |
前期 | 0 | 200 | 1,000 | 1,200 |
− |
調整所得金額計 @3,300 調整欠損金額 A0
基準所得金額=(@−A)÷3=3,300÷3 = 1,100
計算例(2)「過年度欠損金額の調整控除額はないものとする」
所得金額 △欠損金額 | 青色繰越欠損金控除額 | 業務主宰役員給与額 | 調整所得金額 | 調整欠損金額 | |
前々々期 | 500 |
− |
1,000 | 1,500 |
− |
前々期 | △1,300 |
− |
1,000 |
− |
300 |
前期 | 0 | 200 | 1,000 | 1,200 |
− |
調整所得金額計 @2,700 調整欠損金額 A300
基準所得金額=(@−A)÷3=(2,700-300)÷3=800
3.基準期間がない場合(設立第1期目など)
以下の@またはAに該当する事業年度の場合、損金不算入規定は適用されません。
@当年度基準所得金額≦800万円
A「当年度基準所得金額が800万円超3,000万円以下」で、かつ、「業務主宰役員給与≦(当年度基準所得金額×50%)」
事業年度が1年に満たない場合は、業務主宰役員給与は、12ヶ月分に計算し直す。
「当年度基準所得金額」とは
@)事業年度が1年の場合 | |
当年度基準所得金額=当期の所得金額+業務主宰役員給与額 | |
または | 当年度基準所得金額=業務主宰役員給与−当期の欠損金額 |
A)事業年度が1年未満の場合 | |
当年度基準所得金額= @)の金額÷当期の月数 ×12 | |
※1か月に満たない月は1か月とする |