助川公認会計士事務所 | 会社の税務 | 04/10/28 |
役 員 報 酬 |
役員報酬を多額に支給すると賞与金と認定されてしまう?
賞与と認定されると、税務上の費用にはなりません。
・賞与と認定されるとき
1.臨時支給部分が賞与金とされるとき
税務上は役員給与のうち経常支給分は役員報酬として損金に算入され、臨時支給分は役員賞与金として損金不算入とされています。
これは特に支給の高低にかかわらず、著しく低い役員報酬でもそれに臨時報酬を支出すれば、その臨時支給部分は税務上役員賞与金と認定され損金不算入となります。
2.過大報酬を支給したとき
役員に過大な報酬を支給したときはその過大部分は役員賞与金とはならず、たんに損金算入の否認となります。もっともある年度だけ通常年度の倍額を支出しても、それが例えば毎月均等割にて支出される限りにおいて臨時給与とはされず、各年度ごとの支出金はすべて役員報酬として損金算入が認められます。
また過大とは何かということについては、概ね次のような事項が判断のポイントとなります。
@概ね同規模同業種の法人の役員報酬の支給状況がほぼ同一であること
A役員の役職がほぼ同じであること
B事業所所在地が都会、地方等ほぼ同クラスであること
C特別の技術を有する者が受ける技術給はこれを除外して同一水準内のベースで比較すること
以上のような発想により多額性の有無を判断することになりますが、現実にこの種の比較モデルが存在する訳でもなく、また通常の法人ではその種のデータが入手しにくいので、市販されている資料等を参考とすべきでしょう。
従来一説には過大判定のメドとして年額が2,000万円とされる向きもありましたが、これは一旦消滅したものの、最近は再びこれが登場しているので、少々気になるところです。
・賞与と認定されないとき
1.多額の報酬が支給されたとき
多額の報酬が支給されても、次のような箇所がクリアされていれば特に税務上問題となることはありません。
@多額であっても毎月定額化して支給されていること
A当法人の業績が同業他法人と比較して著しく良好であること
B多額の利益計上、税金納付を行っている法人であり、給与ベースも高いので役員報酬が多額であっても法人 の課税所得と比較すればさほどのウエイトがないこと
2.役員報酬規程(内規)を設けたとき
役員報酬支給について法人自らルールを定めて、それに則して役員報酬を支給すれば、税務上役員報酬支給に際しての恣意性がなくなり、支給についての合理性が立証されます。
なお、規程設定に際しての留意事項は次のとおりです。
@いったん定めた規程はなるべく継続すること
A責任度合(役付、平社員)、勤続状況(常勤、非常勤等)
B同族関係者、それ以外の者とで差別しないこと
C業務非従事役員、顧問、相談役、嘱託等のうちみなし役員の報酬を見直すこと