助川公認会計士事務所 | 人事労務 | 04/10/28 |
確定拠出型年金制度について |
(日本版401K)が導入される
平成13年1月施行に向けて国会に法案が提出されています。(平成12年3月31日現在)。平成12年度税制改正要綱によると、その内容は次のとおりです。【法人税関係】企業型年金の事業主掛金については、損金算入が認められることとされました。企業型年金の企業の拠出限度額は、厚生年金基金・適格退職年金等未実施の場合は年
43.2万円、厚生年金基金・適格退職年金等を実施している場合は年21.6万円とされています。【所得税関係】個人型年金に加入する場合の加入者掛金は、全額が所得控除の対象となります。個人型年金の加入者の拠出限度額は、@厚生年金基金、適格退職年金等の対象となっておらず、かつ、確定拠出型年金の企業年金の対象となっていない企業の従業員の場合は年18万円、A自営業者(国民年金第1号被保険者)の場合は
年81.6万円とされています。*確定拠出型年金制度にかかる給付金について、分割(年金)払いの老齢給付金(雑所得)を公的年金等控除の対象とするほか、一時払いの老齢給付金は退職手当等とみなすこととされています。
◇確定拠出型年金とは?
「確定拠出型年金」とは、簡単に言うと、一定の基準で掛け金を定めておき、その拠出金の元利と運用で将来受け取る年金の額が決まるというものです。つまり運用実績に基づいて給付額が決まり、企業側は運用実績が悪くても追加負担の必要がありません。運用リスクは加入者自身が負うことになります。
これに対して現在の年金制度は「確定給付型年金」と呼ばれ、給付額があらかじめ決められており、その給付を行うため年金数理で計算された掛け金を徴収するというものです。したがって運用実績が予定利率を下回れば、企業は予定どおりの給付額を支払うためにその分を補填しなければなりません。
年金制度全体が確定拠出型年金になるのではなく、年金制度のうち、国民年金(基礎年金)と厚生年金は「確定給付型年金」のままですが、厚生年金基金や適格退職年金などの企業年金等が「確定拠出型年金」の導入対象として検討されています。
◇確定拠出型年金の仕組み
加入対象者は、企業年金加入者だけではなく、自営業者や専業主婦などすべての国民となります。
この確定拠出型年金の主な仕組みなどは次のとおりです。
(1)「企業拠出型」と「個人拠出型」の2種類がある
@企業拠出型
企業年金として確定拠出型を導入する企業の全従業員が対象で、労使が合意した確定拠出型年金規約を設定しなければなりません。また掛け金は、毎月の給与計算で天引きします。拠出金には限度額が設けられます。なお従業員には、企業が契約した「運営管理機関」から提示される3種類以上の運用商品から投資対象を選ぶことになります。
A個人拠出型
確定拠出型を導入しない企業の従業員や自営業者などが対象となります。実際に加入するかどうかは本人が決めることになります。自営業者の場合、国民年金基金連合会に加入の申し込みや掛け金の払込みをします。企業の従業員の場合は、企業を通して申し込みや掛け金の支払いを行います。加入者は国民年金基金連合会に登録されている運営機関を選択し、運用を指示します。
(2)掛け金・運用益は非課税
掛け金(限度額あり)とその運用益については非課税とされ、給付金の受け取り時に課税されることになりそうです。
(3)転職先にもっていくことができる
加入者が転職等した場合は、転職先の企業拠出型年金又は個人拠出型年金に移管することになります。なお企業拠出型年金では、3年以上勤務するものが転職した場合、企業か拠出した掛け金も含めて転職先に移管することができます。
(4)給付は年金又は一時金で受け取れる
給付は一時金として受け取ることも、あるいは年金として受け取ることもできます。ただし受給を開始できるのは60〜70歳の間です。
◇将来の掛け金負担の予測がしやすい
確定拠出型年金のメリット・デメリットについては一般的に次のようなことが考えられます。
<メリット>
@掛け金があらかじめ定められており、企業は掛け金負担が予想しやすい。
A年金原資を加入者ごとに管理する場合、加入者は拠出額の運用残高を常に把握できる。
B転職に際してのポータビリティー(個人の移動に対する対応性)が高い。
C一定の範囲内で、加入者が運用方法を選択できる仕組みが設計できる。
D中小企業でも導入しやすい。 など
<デメリット>
@投資リスクは加入者が負うことになる。
A給付額が事前に確定せず、老後の生活設計が立てにくい。
B加入者が運用する場合、安全性を重視した低リスク・低リターンのものになりがちで、運用収益が低くなる。 など
以上が確定拠出型年金制度の主な内容です。
なお、三菱信託銀行による企業へのアンケート調査では、次のような結果が出ています。
・企業年金を確定拠出型のみにすることを検討・・・・・・・・・・・・・・・・・1割
・確定拠出型と確定給付型を組み合わせた混合型の導入を検討・・・4割