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助川公認会計士事務所 人事労務 04/10/28
改正労働者派遣法

労働者派遣法が改正され、(平成11年)12月1日より施行されています。派遣労働の対象業務を原則自由化するなどの改正が行われており、雇用の多様化が進むとも見られています。

労働者派遣法とはどんな法律?

労働者派遣法とは、「労働者派遣事業の適正な運営と派遣労働者の就業条件の整備」を目的に昭和61年に施行された法律です。施行当時の派遣労働者の適用対象業務は13業務でしたが、平成8年に26業務拡大されました。その後、厳しさを増す雇用情勢と雇用形態の多様化を背景に、昨年、適用対象業務が原則自由となるなど改正が織り込まれ、改正労働者派遣法が成立・施行されたのです。

なお、平成2年以降の派遣労働者数は、増加傾向にある。

 

今回の改正のポイントは?

今回の改正のうち主な事項は、次のとおりです。

1 適用対象業務が原則自由化された

従来適用対象業務が26業務に限られていましたが、今回の改正で次の業務を除いて原則自由化されました。

<派遣禁止業務>

港湾運送業務

建設業務

警備業務

医療関係の業務(医師、歯科医師、薬剤師,〔病院、診療所にて行われる業務〕、保健婦・士、助産婦、看護婦・士など)

物の製造業務

人事労務管理関係のうち、派遣先において団体交渉又は労働基準法に規定する協定の締結等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務      など

2 新たに派遣が可能になった業務は派遣期間が1年に制限された

派遣先企業では、次の@からBまでの業務を除き、派遣先の派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元から1年を超える期間継続して労働者派遣を受けてはなりません。

@専門的な知識、技術もしくは経験を必要とする業務又は特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務であって長期雇用慣行を損なわないと認められるものとして制令で定められる業務(いわゆるの26業務〔OA機器操作や秘書、通訳、ソフトウエア開発等〕で派遣期間は3年)

A事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のために必要な業務であって一定の期間内に完了することが予定されている業務

派遣先企業の労働者が育児休業等を取得する場合のその労働者の業務

3 1年の派遣期間を超えた場合、派遣先企業に雇用の努力義務が生じる

つまり派遣期間が1年を超えた場合でかつ派遣労働者が希望した場合は、派遣先企業に直接雇用努力義務が盛り込まれました。

対象となる派遣労働者は次の@及びAを満たす者です。

@1年間が経過した日の前日までに、派遣先企業に雇用されて引き続きその業務に従事することを希望する旨を派遣先企業に申し出たこと

A1年間が経過した日から起算して7日以内に派遣元企業との雇用関係が終了したこと

なおこの場合、労働大臣は派遣先企業に対して派遣労働者の雇い入れを勧告することができ、勧告に従わないと企業名が公表されることになります。

4 派遣労働者の社会・労働保険の加入の有無の派遣先企業への通知が必要

派遣元企業が派遣労働者を派遣するとき、その派遣労働者の社会保険(健康保険や厚生年金保険)や労働保険への加入の有無を派遣先企業に通知しなければなりません。なお、派遣元企業は社会・労働保険に加入の必要がある派遣労働者について加入させてから労働者派遣を行う必要があります。また派遣先企業は社会保険・労働保険に加入している派遣労働者を受け入れる必要があります。

5 個人情報を適正に管理する

派遣元企業は、業務に必要な範囲内で労働者の個人情報を収集・保管・使用し、適正に管理しなければなりません。なお、業務上知り得た機密を他にもらしてはなりません。

6 派遣先企業も派遣労働者に対してセクハラ防止の責任を負う

男女雇用機会均等法の職場におけるセクシャルハラスメント防止に関する配慮義務等が、派遣元企業だけでなく、派遣先企業にも適用されます。

7 派遣労働者は労働者派遣法の違反事実を申告できる

派遣労働者は、労働者派遣法の違反事実がある場合、それを労働大臣に申告することができます。なお、派遣元企業及び派遣先企業は、申告したことを理由に解雇など不利益な取扱いをしてはならず、不利益な取扱いには罰則が科せられます。

派遣先企業の対応は?

今後さまざまな業務で派遣労働者が増えてくることが予測されます。しかし派遣先企業側としては、安易に受け入れていると後々問題となりかねず、適正に対処していくことが必要です。留意点として次のような事項が考えられます。

<留意点>

労働者派遣契約をきちんと取り決め、それに反することのないようにする

派遣労働者からの苦情については適切かつ迅速に処理し、派遣就業が円滑に行われるように必要な措置を講じる

同一業務(一部業務を除く)について、派遣元企業から1年を超える期間継続して派遣労働者を受け入れないようにする

派遣期間が1年を超えた場合でかつ派遣労働者が希望した場合は、遅滞なく雇い入れるよう努めなければならない。ただし本人がずっと派遣のままで能力を発揮したいと考えている場合は、選択の権利が認められている

派遣労働者の社会保険等の加入状況を確認する。また派遣契約を中途解除する場合、相当の猶予期間をもって申し入れる

派遣先責任者を選任し、派遣先管理台帳を作成しなければならない。そして記載内容を派遣元企業等に通知しなければならない      など

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