起業と独立会社設立医療法人の会計税務会社の税務個人の税務中国ビジネス支援

助川公認会計士事務所 人事労務 04/10/28
社会保険の仕組みと実務

「社会保険制度」はどのような制度?

社会保険制度を示すと下のようになります。つまり社会保険制度とは、「社会保険」という一つの保険が存在するのではなく、さまざまな保険や年金が組み合わされて形作られているのです。なお、この社会保険制度は、国が管理監督者となって社会保険事業が行われています。

社会保険

 医療保険

   健康保険

   健康保険(日雇特例被保険者)

   国民健康保険

   老人保険

   船員保険の医療給付部門

   各種共済組合の短期給付部門

 年金保険

   厚生年金保険

   国民年金

   各種共済組合の長期給付部門

 労働保険

   労働者災害補償保険

   雇用保険

 

社会保険には全て加入しなければならない?

企業に主に関係のある社会保険は、「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「労働者災害補償保険(労災保険)」です。社会保険は、独立性のある事業所単位で適用され、強制加入か任意加入かはそれぞれの保険によって異なります。

健康保険・厚生年金保険

 健康保険・厚生年金保険については、次のとおりです。なお強制加入の場合は、事業主や従業員の意思に関係なく加入が義務づけられます。

法人(株式会社、有限会社)…強制加入

個人事業で従業員5人以上…強制加入

  〃     〃   でサービス業の一部など…任意加入

  〃  従業員5人未満…任意加入

雇用保険・労災保険

 すべての法人及び個人事業が加入しなければなりません。ただし個人事業で農林水産の一部の事業等については任意加入です。

 

社会保険にはどのようなメリットが?

社会保険には次のようなメリットがあります。

従業員や家族が業務外でけがや病気をしたとき、「健康保険証」を提出することで軽い負担(健保:本人2割・家族3割〔外来〕、国保〔市町村〕:本人・家族3割)で診察などが受けられます。

従業員が定年退職した後の生活保障が図られます。(例えば厚生年金等による老齢保険)

会社倒産等により失業した従業員に給付(いわゆる失業給付)がなされたり、職業訓練が受けられます。

仕事中に事故に遭い、従業員がけがや死亡したとき、その従業員や遺族に保険給付がなされます。(労災保険による給付)                    など

この8月には被保険者の報酬月額算定基礎届を提出しなければなりません

被保険者報酬月額算定基礎届は、健康保険・厚生年金保険についての手続きです。これは毎年1回、8月1日現在の従業員(被保険者)全員を対象に、5月から7月の3ヶ月の報酬額の平均を社会保険事務所(又は健康保険組合)に提出し、標準報酬月額を決定するというもので、標準報酬月額とは、健康保険・厚生年金保険を算定するためのものです。原則的には毎年8月10日までに提出し、決定された標準報酬は随時改定が行われない限り、その年の10月1日から翌年9月30日まで適用されます。なお従業員を採用したときや転勤があったとき、退職者がでたときなどに、その都度行わなければならない手続きがあります。

 

算定基礎届の際に報酬額に含まれるものは?

基本的には、労働の対価として支払うすべてのものをいいます。ただし、臨時的に支払うものや3ヶ月を越える期間ごとに支払うもの、事業主が恩恵的に支給するもの、実費弁償的なもの、事業主以外から支給されるものは除かれます。

また、通勤定期券や食事など現物で支給したときは、金銭に換算して報酬額に加えます。具体的には次のとおりです。

・金銭支給で報酬に含まれるもの

基本給(月給・週給・日給など)、能率給、奨励給、役職手当、調整手当、特別勤務手当、技能手当、家族手当、住宅手当、通勤手当(非課税部分も含む)、食事手当、早出手当、残業手当、精・皆勤手当、休業手当、年4回以上支給される賞与、財産形成貯蓄のために事業主が負担する奨励金   など

金銭支給で報酬に含まれないもの

結婚祝金、災害見舞金、病気見舞金、出産祝金、退職手当、解雇予告手当、恩給、年金、健保の傷病手当金、労災の休業補償給付、預貯金利子、交際費、出張旅費、出張手当、功労金、年3回まで支給される賞与、被保険者個人の財産収入によるもの   など

 ・現物支給で報酬に含まれるもの

食事、住宅、社宅・寮、衣服(各都道府県の標準価格によって換算する)、通勤定期券・回数券、給与としての自社製品など

現物支給で報酬に含まれないもの

食事(徴収金額が標準価格の3分の2以上の場合)、住宅(徴収金額が標準価格以上の場合)、貸与される制服・作業衣   など

 

雇用保険や労災保険の手続きは?

主な手続きとして「年度更新手続き」があります。この年度更新手続きというのは、雇用保険料と労災保険料を合わせて労働保険料として、毎年1回、保険年度(4月1日から翌年3月31日)の初めに1年分のおおよその額(概算保険料)をまとめて申告・納付し、翌年度初めに確定した保険料(確定保険料)と精算するというものです。

 介護保険制度が来年4月からスタートしますが、保険料の負担がますます増えます。

介護保険制度では、40歳以上の人が加入することになり、特に40歳から64歳の従業員の介護保険料は事業主と従業員の両者で負担することになります。

 また、健康保険・厚生年金保険及び雇用保険については、従来どおり事業主と従業員の両者負担であり、労災保険は全額事業主負担となっておりますので、ますます負担が大きくなります。企業では適切な対応が必要です。

 

B10back.gif (1110 バイト)   B10HP.gif (1249 バイト)    sukeban.gif (4262 バイト)