起業と独立会社設立医療法人の会計税務会社の税務個人の税務中国ビジネス支援

助川公認会計士事務所 経営管理 07/09/16
社内不正の未然防止と早期発見のための経理の仕組み

1.不正を未然防止・早期発見するために、最低限必要となる経理の仕組み

 不正を未然防止・早期発見するためには、一定の事務または業務を1人の従業員の絶対的支配下に置かないような会社の経理の仕組みをつくることが重要です。これは、2人以上の者が同時に同じ過ちを犯すことは極めて稀であるという事実に基づいています。不正を起きにくくするために最低限必要な経理の仕組みは以下のとおりです。

1)取引の処理は必ず、2人以上の手を経て完結するようにする。

不正が発生する最大の原因は、ひとつの取引の処理を1人の従業員が完結して行うことにあります。そこで、取引を完結するにあたっては、必ず2人以上の担当者を設けて行うようにし、1人だけでは取引の処理が完結しない経理の仕組みをつくることが必要となります。たとえば、一定額以上の支出については、複数の担当者の承認を要するという決まりを作ることなどです。そうすることによって、個人の判断のみで取引処理が完了するということがなくなり、担当者による不正を防止することが可能となります。 

2)同一事項の取引記録を2か所以上で行う

 同一事項について取引記録を必ず2か所以上で行って、相互間でチェックできる仕組みを制度として確立することが必要です。たとえば、売掛金の入金という1つの取引について、「現金出納帳」と「売掛金元帳」の記帳を別々の担当者に行わせるといったことです。そうすることにより、金額が同一であるかどうかのチェックが可能となり、不正があった場合に発見の手がかりにもなります。 

 上記(1)、(2)仕組みは、従業員の少ない中小企業においても工夫次第で採用することができます。要するに、1人の従業員に一定の業務を任せきりにしないで、チェック機能を発揮できるように経営者自身あるいは奥さんが業務を分担するようにして、経営者と従業員がお互いに信頼し合える、不正がおきやすい環境を排除した仕組みを作るのです

2.予算制度や月次決算で社内不正を早期発見

 予算制度や月次決算は不正を直接防止する手段ではありませんが、以下の理由から不正を発見する手がかりとなることがあります。 

1)予算制度(注1)の採用

  予算制度は、本来会社の業績を管理するための手法として用いられるものですが、不正の未然防止・早期発見にも役立ちます。予算制度を採用することによって、定期的に予算と実績との際を把握することができます。そして、差異に異常があれば不正の有無を問うことができます。また、差異の原因を分析・追求し、各担当者の責任を明確にすることを習慣づけることによって、従業員の経営参画の意識を高めることができ、間接的に不正を防止することにつながります。 

2)月次決算(注2)の採用

  月次決算を行うことによって、前年同期または前月と比較し、金額の異常性の有無を把握することができます。異常な数値があった場合、その原因を分析することで、不正の発見につながる場合があります。

 (注1) 予算制度とは、利益管理の一手法であり、会社の目標を明確に定めこの目標を実現するためには何をしなければならないかという経営活動の指針を与えるものです。 予算を設定することにより、予算の実現に向けて経営資源の有効活用が可能になります。個人レベルでは、目標が与えられることにより、モチベーションが高まり経営能率の向上が図られます。また、予算と実績の比較、差異原因の分析により適時に問題発見、対応策の実施が可能となり、経営能率の向上が図られます。

 (注2) 月次決算とは,経営管理を目的とする毎月行われる決算です。具体的には、試算表、月次貸借対照表、月次損益計算書、その他必要な書類を作成します。月次決算を行うことにより把握された実績数値は予算と比較され、予算管理に活用されます。又、月次決算の積み重ねが本決算となることから、期末決算の数値予測が可能となります。

 

B10back.gif (1110 バイト)  B10HP.gif (1249 バイト) sukeban.gif (4262 バイト)