助川公認会計士事務所 | 経営管理 | 04/10/28 |
目標管理 組織目標の設定と個人目標の設定 |
目標設定に参画することにはどんな意味があるか。目標管理には、主に二つの意味があります。
@組織の目標を理解することにより、構成員であることを自覚し組織目標達成に向けて努力すべき方向を一人ひとりに納得してもらうことです。
A自己の存在価値を組織の中で自覚してもらうことにより、自らの成長・発展を図ることにあります。
組織目標の設定 |
【組織目標の設定−ある企業の営業を例】
話をわかりやすくするために、事例で、この二つのことを実現していくステップを説明しましょう。
・次年度営業所目標(組織目標)設定前
職場のメンバー全員で一泊二日の合宿を行い、管轄支店の目標達成貢献のために何をなすべきか、営業所の問題・取り組むべき課題は何かを全員で検討し、次年度の営業所目標のたたき台を作成する。
・次年度営業所目標を決めている時
調整事項において必要に応じて係長クラスも同席の上、他部門や上位の部門長(管轄の支店長)との折衝・調整を行う。
・次年度営業所目標を決めた後
確定した次年度営業所組織目標の打ち出された背景や、各メンバーへの期待を職場のメンバー全員に伝達する。
以上のことを通じ、少しでも職場のメンバーに「目標設定への参画」の意図を実現できるようにしているのです。
このようなことを 参画意識の高揚といっています。
【逆のケースを考えた場合】
職場の長が一人で営業所の目標、取り組むべき課題は何かを決定し、他部門や上位の部門長(管轄の支店長)との折衝・調整も済ませて、次年度営業所組織目標を確定してしまうとします。
こうした事例は実際におこることですが、メンバーの参画意識を高揚させることなど到底できません。
「今年度はこれが組織目標だ」と伝えられても、誰も自分のものとして理解しないでしょう。そればかりか、メンバーには「押しつけ」としか映りません。
このように組織目標設定へのメンバーの参画は大変重要なのです。
個人目標の設定 |
「個人目標」に対する目標設定への参画を見てみましょう。
【ある管理者の努力の例】
営業所長は個人目標の設定段階において次のようなことをしています。
こちらも「個人目標の設定前」「個人目標を決めている時」「個人目標を決めた後」で見ていきましょう。
・個人目標の設定前
次年度営業所目標(組織目標)設定前の段階で、各メンバーに期待事項を伝える。また、次年度営業所目標(組織目標)が確定したら、たたき台と比べてどれだけ変わったかを説明し、各メンバーに期待事項の変更があれば伝える。その上で余裕期間を設け、各メンバーにまず各自の個人目標のたたき台を作ってもらう。
・個人目標を決めている時
一人ひとり面接を通じて、個人目標を設定する。その際、押しつけにならないように、先に部下本人に目標を提示させ、職場の長(営業所長)として期待する目標を含めメンバーに対し「目標の意味づけ」を行う。
・個人目標を決めた後
達成に向けての本人の自己統制を促すとともに、職場の長としてバックアップするための支援基準(たとえば、二ヶ月に一度は進捗度を確かめ合う面接を行う)について了解をとる。
このように個人目標においても、目標設定に向けて一人ひとりの参画を求めます。個人目標の場合、まさしくメンバー一人ひとりが取り組むものだけに、組織目標設定の時以上に参画が重要になってきます。
【逆のケースを考えた場合】
では、以上のような工夫もせず、一人ひとりの目標を職場の長が決めてしまったらどうなるのでしょうか。
恐らく誰もが「自分の目標」という自覚も持たないでしょうし、無理に職場の長が押しつけていけばいくほどまさしく「ノルマ」という意識で目標に臨み、期待した成果は得られないでしょう。
仮に目標に向けて各メンバーが取り組んだとしても苦痛を感じながら進めることになりかねません。
これでは何のために個人目標を設定させたのかわからなくなってしまいます。以上のようなことは実際の仕事の中でよく起きることです。