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助川公認会計士事務所 経営管理 04/10/28
連帯保証の法律知識

景気低迷等から信用不安の大きい今日、金融機関や取引先などから担保の提供や保証人の差し出しを求められることが多くあります。しかし保証人に関する基本的な法律知識を持ち合わせていないと後々後悔する事になり兼ねません。

担保には「人的担保」と「物的担保」とがある

担保には大きく分けて「人的担保」と「物的担保」とがあり、前者を「保証」、後者を「担保」といいます。担保の種類と内容については次のとおりです。

人的担保

 @普通保証:弁済能力があれば誰でも保証人になれる。

 A連帯保証:主たる債務者と同等の立場で保証する。

 B連帯債務:連帯保証とほとんど同じ。

 C根保証:債権者と債務者との間で取引上繰り返し発生する債務を保証する。

 D手形保証:手形に保証人として署名する。

物的担保

 E抵当権設定:債権者が物を取り上げないで、それを債権の担保とし、債務者が返済しないときにその物から優先的に弁済を受ける。不動産抵当、工場等の各種財団抵当、船舶抵当等。

 F根抵当権設定:継続取引で債権額が一定しないときに極度額(最高額)を決めて利用される

 G質権:債権者が債務者から物を受け取り、それを手元において、債務者が返済しないときにその物から優先的に弁済を受ける権利。

 H譲渡担保:担保にしようとする物の所有権を債権者に移し弁済が完了すれば返還するという方法。

 I売渡担保:譲渡担保とほとんど同じ。広義の譲渡担保。

 J代物弁済予約の仮登記:債務者が返済不能になったときに、担保物の所有権が債権者に移転するという方法による担保。抵当権設定より手続きが簡便。

 K法定担保権:法律で当然に成立する先取特権、留置権のこと。

 L第三者の担保提供:債務者以外の者が担保を提供すること。物上保証ともいう。

 

・「保証人」と「連帯保証人」とはここが違う

保証人には、単なる「保証人」と「連帯保証人」の2種類があり、この両者には次のような違いがあります。

<単なる保証人>

 主たる債務者に弁済能力がないことが明らかになったときにのみ債権者に対して弁済責任を負う。

<連帯保証人>

 債権者は主たる債務者に請求せずにいきなり連帯保証人に請求しても良く、連帯保証人は請求を受けたら弁済しなくてはならない。

このように「連帯」の2文字が付くか付かないかでその意味は大きく違ってきます。つまり、連帯保証人の方がその責任は大きく、例えば「保証人ではなく連帯保証人だから責任は軽減される」と誤解して安易に連帯保証人になっては、後で大変なことになりかねないのです。まずこのことをよく理解しておきましょう。

 

・「保証人」には認められている権利が「連帯保証人」には認められていない

両者の違いは、次のような権利が単なる「保証人」には認められ「連帯保証人」には認められていないというところにあらわれています。

@債権者から支払いの請求を受けたら「まず債務者本人に請求せよ」として、その請求をはねつける権利

  →催告の抗弁権

A主債務者に財産がある場合、債権者から差し押さえ、競売等の執行を受けたとき「まず債務者の財産を差し押さえて取り立てよ」として、執行をはねつける権利→検索の抗弁権

B保証人の責任が保証人の人数に応じて軽減されること→分別の利益

 

・「連帯保証人」の方が責任は大きい

「連帯保証人」には、上記の権利等が一切認められていないことから、次のようなことが考えられます。

1.債務者より先に支払いを請求されても文句は言えない。

連帯保証人には、催告・検索の抗弁権が認められていないので、主たる債務者より先に支払いを請求されても文句は言えません。また主たる債務者より先に財産を差し押さえられても異議を申し立てることもできないのです。これに対して、催告・検索の抗弁権が認められている単なる保証人の場合、もし債権者がすぐに債務者に催告したり、強制執行したら回収できたであろうと思われる額だけ責任を免れることが可能になります。

2.連帯保証人は他に保証人がいるからといって責任は軽減されない

保証人が1人ではなく2人以上いた場合、単なる保証人と連帯保証人ではその責任の大きさが全く違ってきます。連帯保証人には、分別の利益が認められず、保証人の責任は保証人の人数によって軽減されることはありませんので、例えば、1人の連帯保証人が債権を全額弁済しなければならないこともあります。これに対して、単なる保証人の場合、分別の利益により、その責任は保証人の頭割りによって分担されます。

簡単なケースで両者の違いを見てみましょう。

<ケース>300万円の債務について3人の保証人がいる

 ・連帯保証の場合:債権者は連帯保証人のうち誰に対しても債権全額の支払いを請求でき、連帯保証人は1人で300万円全額を請求されることもある。

 ・単なる保証の場合:保証人3人の頭割りにより各保証人が100万円を負担すればよい。

 

以上のことから、連帯保証人となることがどういうことか大体理解していただけたかと思います。保証人になる際はくれぐれもご注意ください。                                                                     

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