助川公認会計士事務所 | 経営管理 | 04/10/28 |
商業登記の基礎知識 |
取引の安全と円滑化を図り、事業者自身の信用保持にも役立てる目的で「商業登記制度」があります。登記簿をみる際は記載内容をよく確認しましょう。
ある会社の信用情報を入手したい場合には、商業登記簿を見れば役員構成など重要な事項がチェックできます。反対に自社の登記内容にも注意して必要な変更等を忘れていないかチェックする必要があります。
「商業登記」とは?
会社や商人について取引上重要な一定の事項(商号や本店、役員など)を法務局に備えられた登記簿に記載して公開する制度(商業登記制度)です。<商業登記制度の目的>
商人自身の信用の保持に役立てる
したがって、例えば取り引きする会社について調べたい場合には、その会社の本店所在地を管轄する法務局の支局や出張所に行けば商業登記簿が閲覧できるようになっています。
商業登記による効力
商業登記をすることによって次の3つの効力があります。
商業登記簿の種類
法務局に備えられている商業登記簿は、次のとおりです。
商業登記簿…合名会社登記簿 合資会社登記簿 株式会社登記簿 有限会社登記簿 外国会社登記簿 商号登記簿 未成年者登記簿 後見人登記簿 支配人登記簿
登記をその理由で分類
登記は、その理由によって次のように分けられます。
独立の登記…登記簿を初めて作成する場合に行う。会社の設立の登記など。
変更の登記…一度登記した事項に変更が生じた場合、登記を実態に合わせるために行う。役員変更の登記など。
更正の登記…登記したときから登記事項が抜けていたり誤りがあった場合に行う。
消滅の登記…登記事項に対応する実態が消滅した場合に行う。解散の登記など。
抹消の登記…登記事項が無効になったり、登記事項に対応する実態がない場合に、その登記を抹消する。
役員に変更があったときには変更登記
会社に関係のある登記の中でもっともなじみのあるものが、役員変更登記です。株式会社での注意事項は次のとおりです。
【注意点1】役員を再任する場合も役員変更登記をする
原則的には、取締役の任期は2年、監査役の任期は3年(商法改正後は4年)と定められています。定時株主総会で選任することになりますが、同じ役員を再任する場合でも選任の手続をして役員変更登記をしなければなりません。つまり取締役だと2年に一度、監査役だと3年に一度は役員変更登記が必要となります。もちろん、取締役を新しく選任した場合や、任期途中の辞任・解任・死亡の場合なども役員変更登記が必要です。
【注意点2】氏名や住所が変わったときも役員変更登記が必要
婚姻や養子縁組などによって役員の氏名が変わったり、引っ越しによって代表取締役の住所が変わった場合も変更登記が必要になります。(有限会社の場合は異なります)
登記事項を登記しないと過料に処せられる
登記の内容と実態が違うことがないように、法律で会社の代表者に登記申請を義務づけています。つまり役員変更登記のみならず取締役会・株主総会での決定事項が登記事項であれば、本店所在地では2週間以内に登記しなければなりません。この期間内に登記をしないと、社長個人に過料の通知が届きます。ちなみに登記を怠ったときには百万円以下の過料に処せられます。
また、株主総会を開催していないのに開催したことにして取締役・監査役が選任されたとして登記すると、公正証書原本不実記載として、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
インターネットを利用して不動産登記や商業登記等の登記簿が確認できます。(サービスをまだ実施していない登記所もあります)
「登記情報提供サービス」(有料)
http://www.touki.or.jp/